ビジネスわかったランド (税務)

その他の税目

法人事業税(外形標準課税適用法人)
資本金額または出資金額が1億円超である法人(外形標準課税適用法人)の法人事業税は、所得割、付加価値割、資本割の合計額となる。

(1)所得割

1.課税標準(所得金額)

課税標準は、法人税法の規定により計算した所得金額を基準として一定の調整(損金算入所得税の加算、繰越欠損金の控除等)を行った金額となる。


2.税率

外形標準課税が適用される法人の所得割に係る税率は、次のとおりである。
  令和元年10月1日~令和4年3月31日開始事業年度
(標準税率)
令和4年4⽉1⽇以後
開始事業年度
(標準税率)
軽減税率適用法人 年400万円以下 0.4% 1.0%
年400万円超800万円以下 0.7%
年800万円超 1.0%
軽減税率不適用法人 1.0% 1.0%
軽減税率不適用法人は、資本金の額又は出資金額が1,000万円以上であり、かつ、3以上の都道府県に事務所等を有する法人が該当する。
また、令和5年3月現在、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県においては標準税率以外に超過税率が定められており、いずれの税率を用いるかの判定基準は都府県ごとに異なる。

(2)付加価値割

課税標準である付加価値額に、税率を乗じて計算した金額が付加価値割に係る税額となる。


1.課税標準(付加価値額)

課税標準となる付加価値額は、収益配分額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)に単年度損益を加減算した金額から雇用安定控除額および賃上げ促進に係る税制控除額を控除した金額となる。


イ)報酬給与額
法人税において損金算入される給与、賞与、退職金等をいい、役員または使用人のために支出する年金掛金等、労働者派遣等のために支出した金額の75%相当額も報酬給与額に含まれる。


ロ)純支払利子
損金算入される支払利子(借入金利子、社債利子等)から受取利子を控除した金額をいう。


ハ)純支払賃借料
損金算入される支払賃借料(賃借権等の対価として支払う金額)から受取賃借料を控除した金額をいう。


ニ)単年度損益
繰越欠損金控除前の事業税の所得金額をいう(マイナスの場合は収益配分額と相殺可)。


ホ)雇用安定控除額
「報酬給与額」が「収益配分額(報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)の70%相当額」を超える場合には、付加価値額から雇用安定控除額【報酬給与額-収益配分額×70%】を控除する。


ヘ)賃上げ促進に係る税制控除額
令和4年4⽉1⽇以後に開始する事業年度について、法⼈税における賃上げ促進税制の適⽤要件を満たす場合には、付加価値割の算定において⼀定の⾦額を控除する。


2.税率

付加価値割の税率は、以下のとおりである。また、令和5年3月現在、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県においては標準税率以外に超過税率が定められており、いずれの税率を用いるかの判定基準は都府県ごとに異なる。
  平成28年4月1日以後開始事業年度(標準税率)
付加価値割 1.2%

(3)資本割

1.課税標準

資本割の課税標準は、法人税法に規定する資本金等の額となるが、無償増減資を行っている場合には、その額を加減算した金額となる。ただし、その金額が「資本金と資本準備金の合計額」を下回る場合には、「資本金と資本準備金の合計額」が課税標準となる。

また一定の持株会社(総資産に占める子会社株式の割合が50%を超える会社)および資本金等の額が1,000億円を超える法人については、課税標準を圧縮する特例が設けられている。


2.税率

資本割の税率は、以下のとおりである。また、令和5年3月現在、宮城県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県おいては標準税率以外に超過税率が定められており、いずれの税率を用いるかの判定基準は都府県ごとに異なる。
  平成28年4月1日以後開始事業年度(標準税率)
資本割 0.5%

(4)企業版ふるさと納税制度による控除額

上記により計算した事業税額から、企業版ふるさと納税制度による控除額(※)が控除される。

(※)企業版ふるさと納税制度については「税額計算と申告 企業版ふるさと納税」を参照

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています