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租税公課その他

海外渡航費

(1)法人の旅費として取り扱われるもの

法人が、役員または使用人の海外渡航に際して支出する旅費・日当・支度金等(以下、「旅費等」という)のうち、以下に該当するものは、法人の旅費として損金の額に算入される。

・その海外渡航が法人の業務の遂行上必要なものであること
・その渡航のために通常必要と認められる金額であること

日当や支度金については、渡航を行った役員や使用人個人に対して直接支払われるケースが多いと思われるため、社会通念上不当に高額とならない金額の範囲内で、社内旅費規程において一定の支給ルールを設け、そのルールに沿って支給を行うことが望ましいといえる。

(2)個人に対する給与として取り扱われるもの

  1. 役員または使用人の旅費等法人が、役員または使用人の海外渡航に際して支出する旅費等のうち、以下に該当するものは、原則として役員または使用人の給与として取り扱われる。

    ・法人の業務の遂行上必要とは認められない海外渡航の旅費等の額・法人の業務の遂行上必要と認められる海外渡航であっても、その旅費等の額のうち通常必要と認められる金額を超える部分の金額 このうち役員の給与とされたものは、定期同額給与等には該当しないと考えられるため、法人の損金の額には算入されないことになるであろう。
  2. 同伴する親族の旅費等法人の役員が自己の配偶者や親族を同伴したときは、その旅費はその役員に対する給与とされる。ただし、その同伴が業務の遂行上必要と認められる以下のケースに該当する場合には、通常必要と認められる旅費の範囲内で、法人の旅費として損金の額に算入される。 ・その役員が常時補佐を必要とする身体障害者であるため補佐人を同伴する場合・国際会議への出席等のために配偶者を同伴する必要がある場合・その旅行が外国語に堪能な者または高度の専門的知識を有する者を必要とするような場合に、適任者が法人の使用人のうちにいないため、その役員の親族または臨時に委嘱した者を同伴するとき

(3)業務の遂行上必要と認められる旅行と認められない旅行とを併せて行なった場合

  1. 海外渡航の目的が、法人の業務と業務以外の両方にあると認められる場合たとえば、2週間の海外渡航期間のうちの前半の1週間は取引先との商談に充て、後半の1週間は観光に充てる目的で、海外渡航の日程が組まれたと認められる場合は、旅費等の額を、法人の業務上の費用と、個人に対する給与として取り扱う部分とに合理的に区分する必要がある。費用の使途が明確なものはその使途に応じて区分するほか、渡航全体に係る費用は日数等の合理的な基準により按分することが必要となる。

    ただし、業務上の費用に区分されたものであっても、通常必要と認められる金額を超える部分の金額は、個人に対する給与とされる。
  2. 海外渡航の直接の動機が、法人の業務遂行のためであると認められる場合海外渡航の直接の動機が、取引先との商談や契約の締結等の法人の業務の遂行のためであり、その渡航に付随して観光を行なったと認められる場合には、次のように取り扱う。 ・往復の旅費(業務を遂行する目的地までのものに限る)のうち、通常必要と認められる金額の範囲内であるものは、旅費として法人の損金の額に算入する・往復の旅費のうち、通常必要と認められる金額の範囲を超える部分の金額は、個人に対する給与として取り扱う。・往復の旅費以外の金額は、上記1に従って、法人の業務上の費用と個人に対する給与として取り扱う部分とに合理的に区分する。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています