ビジネスわかったランド (税務)

税務調査

税務調査対策のポイント

(1)書類整備の必要性

調査官は、取引の契約関係や事実関係がどうなっているのか、その取引は法律的にどのような取引と解釈されるのか、取引の形式や外観と実態は一致しているのかなどを各種証拠書類により確認し、その取引の実態に基づいた適正な税務処理が行われているかどうかを調査する。

各種証拠書類の整備にあたっては、下記の点がポイントとなる。

□契約書で取引成立の事実を明らかにする
□社内稟議書・取締役会議事録で取引を行った理由と意思決定を明確にする
□法令により作成することが要請されている書類は必ず作成する
□各種社内規程・社内ルールを作成し、それらに則った運用を行う □受注伝票・発注伝票・出荷伝票・納品書・検収書・見積書・請求書・領収書・入金伝票等、取引の一連の流れを示す書類の整理保存と、帳簿との整合性を確保する □時価算定資料や計上金額の根拠資料は必ず作成し、保存する

これらの書類は、税務調査の連絡がきてから整備しようとしても間に合うものではない。税務調査対策の観点からだけでなく、経営管理上の観点からも、日頃の書類整備を心掛けたいものである。

(2)処理方針の明確化

納税者が行った取引につき、税務上どのように取り扱うのが正しいのか、法令上、必ずしも明確になっていない部分もあり、この点で調査官と争いになることも多い。調査官は税額が増加するような取扱いを示してくることもあるが、「その取引実態はこうであり、そのためこの法令に基づいて適正に税務処理を行った」ことを納税者側で示すことができれば、その処理が適正である限り、修正対象となることはない。

自社の処理が適正であることを示すためには、納税者が処理の方針を明確化しておく必要があるが、確定申告間際になって慌てて行った処理は、その方針が曖昧なまま決定してしまうことにもなりかねない。取引発生時に税務処理はどうなるかを検討することはもちろんのこと、取引によっては、その発生前に税務処理を検討し、税務リスクがある場合には、そのスキームの再検討が必要となることもあろう。

(3)最後に

税務調査では単に税金計算の正否だけでなく、時には従業員の不正が発覚することもあり、会社の経営管理能力を見られているともいえる。税務調査は、納税者にとってあまり歓迎されるものではないだろう。しかし、指摘された税務処理はもちろんのこと、会社が気付かなかった会社内部の問題点などを改善するよい機会となることもある。税務調査は、必ずしもマイナスのことばかりではないといえるのではないだろうか。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています