ビジネスわかったランド (税務)

寄附金・交際費

交際費等とその他の費用の区分
交際費等と混同されやすい隣接費用は多い。以下では、その代表的なものについて解説する。

(1)会議費

会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用は、交際費等には該当しない。
実務上は飲食を伴った会議も行われることがあるため、会議費と交際費等は混同されやすい項目の1つであるが、通常会議が行われる場所で供与される昼食の程度を超えない飲食であれば会議費となるであろう。飲食店において会議を行うというのであれば、食事等を供した主目的が「会議」にあるのか「懇親」にあるのかで判断すべきである。
また、たとえ会議の実態があったとしても、通常会議に要する費用を超えるものは、会議費ではなく、交際費等または参加者に対する給与に該当することになる。

(2)福利厚生費

専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用は、交際費等には該当しない。
自社の従業員も「事業に関係のある者」に含まれるが、従業員の慰安の目的で行われるものは、社会通念上過大な費用でなければ、福利厚生費として取り扱われる。

(3)広告宣伝費

カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用は、交際費等には該当しない。盆暮れに配布するこれらの贈答用物品等は、通常は1つ当たりの金額が少額で、主として自社の広告宣伝を目的として多数の者に対して配布されるものであり、特定の取引先等に対する贈答を意図したものではないという理由からである。
また、一般消費者を対象とした景品の費用や、抽選による旅行等への招待のための費用等、不特定多数の者に対する広告宣伝効果を意図するものも、広告宣伝費として取り扱われる。逆に、得意先等のみを対象とするものは、広告宣伝目的というよりは、今後の円滑な取引を図る目的で支出するものとして、交際費に該当するケースがほとんどであるといえよう。

(4)接待等に伴うタクシー代

得意先等の接待に伴って発生するタクシー代の取扱いは、以下のとおりである。自社が接待を行う側である場合に生じたものは、交際費等に該当することに注意が必要である。
  1. 得意先等を接待するために生じたものは交際費等に該当する。

    【例】○得意先を飲食店まで送迎するためのタクシー代○接待終了後、その得意先を自宅まで送った場合のタクシー代○得意先等に渡す車代
  2. 接待を受けるために生じたものは交際費等に該当しない

    【例】○自社の役員・従業員が他社から接待を受ける場合の、飲食店までのタクシー代○接待を受けた後の帰宅のためのタクシー代

(5)ゴルフ会員権の所有に伴う費用

ゴルフ会員権に関する課税関係の考え方は、以下の表のとおりである。基本的には、入会金等の初期費用は資産計上、入会後発生する年会費やプレー代等は交際費等に該当することになる。なお、法人の業務遂行との関連が認められない場合は、これらすべてが特定の役員や使用人に対する給与として取り扱われる。
入会金等(入会金・預託金、他者から購入したものであれば購入代価・名義書換料) 法人会員 資産計上
※右記以外
給与※名義人である特定の役員・使用人が専ら法人業務に関係なく利用するとき
個人会員 資産計上※法人の業務遂行上必要な入会で、無記名式の法人会員制度がないため個人会員として入会したとき 給与
※左記以外
年会費・ロッカー料等 交際費※入会金等を資産計上しているとき 給与※入会金等が給与とされたとき
プレー代 交際費※業務上の利用のとき 給与※業務上の利用でないとき

(6)交際費等に係る控除対象外消費税額等

消費税法上、その課税期間の課税売上高が5億円を超える場合、または、課税売上割合が95%未満である場合は、仕入税額控除について、個別対応方式か一括比例配分方式のいずれかの方法で計算を行う。この場合、税抜経理を採用していると、仮払消費税について一部控除不能部分が生じる。この控除不能額のことを「控除対象外消費税額等」という。
交際費等に係る仮払消費税の一部が控除不能となった場合は、控除不能部分(交際費等に係る控除対象外消費税額等)は、接待等のための支出の一部であることから、交際費等の金額に含めて損金不算入額の計算を行うこととされている。単純に損金の額に算入することはできないため、注意が必要である。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています