ビジネスわかったランド (税務)

収益

工事等の請負による収益計上時期

(1)収益費用計上の前倒し

  1. 長期大規模工事

    次に掲げるすべての要件を満たす長期大規模工事(製造およびソフトウエアの開発を含む)については、各事業年度末までに目的物の引渡しが行なわれていない場合であっても、工事進行基準による収益および費用の計上が強制される。
    イ) 工事等の着手の日から目的物の引渡しの期日までの期間が1年以上であること ロ) 請負の対価の額が10億円以上であること ハ) 請負の対価の額の2分の1以上がその工事の目的物の引渡しの期日から1年を経過する日後に支払われることが定められていないものであること
    工事進行基準の適用にあたっては会計上の経理処理は関係ない。そのため、会計上、工事進行基準による収益および費用の額の計上がない場合には、法人税の別表調整が必要になる。 ※上記要件を満たす工事等であっても、事業年度末において工事着手から6か月以内または工事進行割合が20%未満であるものは工事進行基準を適用しないことができるとされている。
  2. 長期大規模工事以外の工事等

    長期大規模工事に該当しない工事等で、その工期が2事業年度以上にわたるものについては工事完成基準(工事が完成し、目的物の引渡しを行なった事業年度に収益および費用を計上する方法)または工事進行基準のいずれかを選択して適用することができる。その適用にあたってはそれぞれの工事ごとに選択することが可能である。

    なお、長期大規模工事に該当しない工事等について工事進行基準を適用する場合には、会計上、工事進行基準により経理することが必要とされているため、法人税の別表調整による適用は認められない。また、着工事業年度後の事業年度において工事進行基準による経理処理を行なわないこととした場合には、その後の事業年度では工事進行基準の適用は認められない。

(2)工事進行基準とは

工事進行基準の方法とは、その工事に係る対価の額および原価の額のうち、その工事に係る進行割合に応じた金額を各事業年度の収益および費用の額とする方法をいうが、具体的な計算方法は次のようになる。
  1. 収益の額
    工事対価の額(※1)×工事進行割合(※3)-既計上額
  2. 費用の額
    工事原価の額(※2)×工事進行割合(※3)-既計上額

(※1)工事対価の額が未確定の場合には、事業年度末の現況により見積もられる工事原価の額を工事の対価の額とみなすことになる

(※2)その事業年度末の現況により見積もられる工事の原価の額

(※3)工事原価の総額のうち、すでに要した原材料費、労務費、経費の合計額の占める割合のほか、工事の進行度合を示すものとして合理的と認められるものに基づいて計算した割合

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています