ビジネスわかったランド (税務)

減価償却

償却限度額

(1)償却費として損金経理した金額

減価償却資産は、減価償却を通じて費用化される。税務上、減価償却費は、償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額を損金に算入することとされている。 償却費として損金経理をした金額とは、確定した決算において「減価償却費」に費用として計上された金額のほか、次に掲げる金額も含まれることとされている。
  1. 取得価額に算入すべき付随費用で費用処理された金額
  2. 圧縮限度額を超えて費用処理した部分の金額
  3. 修繕費に計上し、資本的支出として損金不算入となる部分の金額
  4. 無償または低額により取得した資産で時価と簿価との差額部分の金額
  5. 除却損、評価損、減損損失として費用処理した金額のうち損金不算入となる部分の金額
  6. おおむね60万円以下または耐用年数が3年以下の減価償却資産を消耗品費等として費用処理した金額
  7. ソフトウェアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として費用処理した金額
したがって、たとえば「雑費」勘定で費用処理されていた金額のうち、減価償却資産として資産計上が必要な物品を税務調査で指摘されたときは、費用処理した事業年度ではその全額の損金算入が認められないことになる。

ただし、上記1~6の費用に該当しないものであっても、法人税の別表において申告調整をした金額がある時は、その金額は償却費として損金経理された金額に該当することとされている。

(2)減価償却限度額

減価償却費は、償却方法の選択や経済的耐用年数の採用等、法人の選択や判断に左右される部分が多く、その計算に恣意的な判断が介在しないとも限らないため、課税の公平が阻害されるおそれがある。

そこで税務上は、資産の種類に応じて、一定の算式による償却限度額を設けている。償却方法ごとの償却限度額の計算方法は以下の通りである。

◆平成19年3月31日以前取得
・旧定額法  償却限度額=(取得価額―残存価額)×償却率
・旧定率法  償却限度額=(取得価額-既償却額)×償却率

◆平成19年4月1日以後取得
・定額法  償却限度額=取得価額×償却率
・定率法  償却限度額=(取得価額-既償却額)×償却率

※その他、生産高比例法・リース期間定額法がある。

(3)耐用年数・償却率

耐用年数は、資産の種類・構造・用途・細目ごとに決められており、償却率は、耐用年数に応じて定められている。

なお、同じ耐用年数でも、償却率は旧定額法・旧定率法・定額法・定率法により異なる率が定められている。さらに定率法は、平成19年4月1日から平成24年3月31日までの間に取得した資産に適用する償却率(いわゆる250%定率法の償却率)と、平成24年4月1日以後に取得した資産に適用する償却率(いわゆる200%定率法の償却率)が異なるため、注意が必要である。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています