ビジネスわかったランド (税務)

消費税

消費税が課される取引(判定1の各要件)

(1)国内において行われる取引

消費税は日本国内における消費に対して課されるものであることから、国内において行われる取引が対象となる。国内取引に該当するか否かの判定は次により行う。


1.資産の譲渡または貸付け

譲渡または貸付けが行われる時においてその資産が所在していた場所。ただし、次に掲げる資産についてはそれぞれに掲げる場所。
資産 判定場所
船舶または航空機 登録の有無等により以下のいずれか
1.登録機関の所在地
2.譲渡、貸付けを行う者の住所地
3.譲渡、貸付けを行う者の譲渡、貸付けに係る事務所等の所在地
鉱業権、租鉱権、採石権等 鉱業権に係る鉱区、租鉱権に係る租鉱区、採石権等に係る採石場の所在地
特許権、実用新案権、意匠権、商標権等 権利の登録をした機関の所在地(同一の権利について2以上の国において登録をしている場合には、これらの権利の譲渡または貸付けを行う者の住所地)
公共施設等運営権 公共施設等の所在地
著作権、ノウハウ等 譲渡または貸付けを行う者の住所地
営業権、漁業権、入漁権 権利に係る事業を行う者の住所地
有価証券(ゴルフ場利用株式を除く) 有価証券が所在していた場所
券面の発行がないものは発行法人の本店所在地
振替機関が取り扱うものは振替機関の所在地
登録国債 登録をした機関の所在地
合名会社、合資会社、合同会社の社員の持分
協同組合等の組合員、会員の持分その他法人の出資者の持分
持分に係る法人の本店または主たる事務所の所在地
貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(ゴルフ場等利用の預託金を除く) 金銭債権に係る債権者の譲渡に係る事務所等の所在地
ゴルフ場利用株式等、ゴルフ場等利用の預託金 ゴルフ場その他施設の所在地
上記以外の資産でその所在していた場所が明らかでないもの 譲渡または貸付けを行う者の譲渡または貸付けに係る事務所等の所在地
※1 住所地・・・住所、本店、主たる事務所の所在地
※2 事務所等・・・事務所、事業所その他これらに準ずるもの(支店、出張所、工場、建設現場等)


2.役務の提供

役務の提供が行われた場所(現実に役務の提供があった場所として具体的な場所を特定できる場合にはその場所をいうのであり、具体的な場所を特定できない場合であっても役務の提供に係る契約において明らかにされている役務の提供場所があるときは、その場所)。
ただし、次に掲げる役務の提供についてはそれぞれに掲げる場所。
役務の提供 判定場所
国内および国内以外の地域にわたって行われる旅客または貨物の輸送(国際運輸) 旅客または貨物の出発地、発送地または到着地
国内および国内以外の地域にわたって行われる通信 発信地または受信地
国内および国内以外の地域にわたって行われる郵便または信書便(国際郵便) 差出地または配達地
保険 保険に係る事業を営む者の保険の契約の締結に係る事務所等の所在地
情報の提供 情報の提供を行う者の情報の提供に係る事務所等の所在地
設計 設計を行う者の設計に係る事務所等の所在地
専門的な科学技術に関する知識を必要とする調査、企画等に係る役務の提供で生産設備等の建設または製造に関するもの 生産設備等の建設または製造に必要な資材の大部分が調達される場所
電気通信利用役務の提供 電気通信利用役務の提供を受ける者の住所地、本店または主たる事務所の所在地

※事業者向け電気通信利用役務の提供のうち、下記に掲げるものに該当する場合には、それぞれ記載のとおり
  • ・国内事業者が国外事業所等において受けるもののうち、国外で行う資産の譲渡等にのみ要するものについては、国外取引
  • ・国外事業者が国内の恒久的施設において受けるもののうち、国内で行う資産の譲渡等に要するものについては、国内取引
上記以外で国内および国内以外の地域にわたって行われる役務の提供その他の役務の提供が行われた場所が明らかでないもの 役務の提供を行う者の役務の提供に係る事務所等の所在地
3.金融取引

貸付けまたは行為を行う者の貸付けまたは行為に係る事務所等の所在地

(2)事業者が事業として行う取引

事業とは、反復、継続、独立して対価を得て行われるものをいい、その規模は問わないこととされている。法人の行う取引は、原則としてそのすべてが事業として行われるものに該当する。

(3)対価を得て行う取引

消費税は有償で行われる取引のみを課税の対象としていることから、無償で行われる取引は課税対象とはならない。ただし、個人事業者が事業用資産を家事消費した場合、および法人が資産をその役員に対して贈与した場合には、例外として課税対象とされる。
なお、役員に対し、無償による資産の貸付けや役務提供を行っても課税対象とはならない。

(4)資産の譲渡、貸付けまたは役務の提供であること

1.資産の譲渡

資産(棚卸資産、固定資産のような有形資産、権利、その他の無形資産で取引の対象となる一切のもの)につき、その同一性を保持しつつ、他人に移転させることをいう。

【該当するもの、しないものの例】
取引 内容 資産の譲渡対価
保険金 保険契約に基づき、保険事故の発生に伴い収受 該当しない
損害賠償金 心身または資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるもの 該当しない
損害を受けた棚卸資産等が加害者に引渡され、そのまままたは軽微な修理を加えることにより使用可能であるもの 該当する
剰余金の配当 株主または出資者たる地位に基づき、配当または分配として受けるもの 該当しない
現金過不足 帳簿上あるべき残高と実際残高の相違 該当しない
売掛金、貸付金等 債務者からの回収 該当しない
第三者に対する譲渡 該当する
対価補償金等 対価補償金 該当する
収益補償金、経費補償金、移転補償金 該当しない
廃棄、盗難、滅失 資産につき、廃棄、盗難、滅失があった場合 該当しない
寄付金、祝金、見舞金等 資産の贈与(実質的に資産の譲渡対価を構成すべきものを除く) 該当しない
補助金、奨励金、助成金等 特定の政策目的の実現を図るための給付金 該当しない
未経過固定資産税
未経過自動車税
不動産、自動車の売買にあたり、売主と買主との間で行う租税の精算 該当する
2.資産の貸付け

賃貸借契約、消費貸借契約等に基づき、資産を他の者に貸し付けたり、使用させる行為をいい、資産に係る権利の設定その他、他の者に資産を使用させる一切の行為を含む。

【該当するもの、しないものの例】
取引 内容 資産の貸付対価
資産の貸付けに伴う保証金、権利金 一定の事由の発生により返還しないもの 該当する
契約の終了または、一定期間経過後に返還されるもの 該当しない
損害賠償金 無体財産権(特許権等)の侵害を受けたことにより受け取る権利の使用料に相当するもの 該当する
不動産等の明渡し遅滞により受け取る賃貸料に相当する損害賠償金 該当する
賃料支払いの遅延により受け取る遅延損害金 該当する
リース取引 ファイナンス・リース(所有権移転外含む) 該当しない
(譲渡対価として課税)
オペレーティング・リース 該当する
解約損害金(リース期間内のリース料の修正) 該当する
(譲渡or貸付け)
3.役務の提供

請負契約に代表される土木工事、修繕、運送、保管、印刷、広告、仲介、興行、宿泊、飲食、技術援助、情報の提供、便益、出演、著述その他種々のサービスを提供することをいい、弁護士、公認会計士、税理士、作家、スポーツ選手、映画監督、棋士等によるその専門的知識、技能等に基づく役務の提供を含む。

【該当するもの、しないものの例】
取引 内容 役務の提供対価
会費、組合費、入会金(返還不要) 役務の提供(研修、出版購読、映画入場料、レジャー施設の利用など)との間に明白な対価関係あり 該当する
明白な対価関係なし 該当しない
対価関係の判定が困難
(不課税とする場合は、収受した側から支払側へ通知する)
収受する同業者団体等が対価関係なし(不課税)とし、支払側も課税仕入れにしないことが可
協賛金 協賛者が主催者に協賛金として金品を交付 該当する
出向負担金 出向先事業者が自己の負担すべき給与に相当する金額を出向元事業者に支出 該当しない(給与)
フランチャイズ手数料
ロイヤリティ
グループの傘下店として、その名称を使用すること、広告の代行、経営指導等を行う 該当する
実費交通費等 弁護士等に支払う役務提供の対価(報酬)に含まれる 該当する

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています