ビジネスわかったランド (税務)

収益特例

受取配当等の益金不算入-みなし配当

(1)税務上は配当とみなすもの

会社法上は剰余金の配当等として取り扱われないものであっても、その実質が剰余金、利益の配当と変わらないものは、 法人税法上は配当とみなされる。配当とみなされた金額については、受領側では受取配当等の益金不算入の規定が適用されるが、特に支払側において源泉所得税の徴収もれにも注意したい。

税務上、みなし配当が生じる事由は以下の場合に限定される。
みなし配当が生じる事由(限定列挙) みなし配当が生じないケース
非適格合併 適格合併
非適格分割型分割 適格分割型分割
非適格株式分配 適格株式分配
資本の払戻し、または解散による残余財産の分配
自己株式または出資の取得 一定の事由に該当する場合の取得◆金融商品取引所の開設する市場における購入(上場会社が自己株式を取得)◆事業の全部の譲受け、組織再編(一定の合併、分割等)◆会社法に規定する端株の買取り、一定の取得請求権付株式の請求権行使による取得 など
出資の消却、払戻し、脱退等による持分の払戻しなど
組織変更(組織変更に際し株式等以外の資産を交付する場合) 組織変更(組織変更に際し株式等以外の資産を交付しない場合)
なお、株式等の発行法人による自己株式の取得が予定されている株式等を取得した場合において、予定通りその株式等が発行法人により取得されたことにより生じたみなし配当は益金不算入の対象とはならない。

(2)みなし配当の計算

みなし配当の計算は、次に掲げる算式による。

みなし配当金額=交付金銭等の額-対応資本金等の額(資本の払戻し部分)

この場合における対応資本金等の額は、たとえば、発行法人に自己株式として譲渡した場合では、譲渡直前の発行法人の資本金等の額を発行済株式等の数で除して譲渡株式数を乗じた金額となるが、この計算は譲渡した法人側では行なうことができない。自己株式の取得等、上記(1)に掲げるみなし配当事由が生じた場合には、発行法人側でみなし配当金額の計算を行ない、相手方に通知することが義務付けられている。

上記事由により金銭等の交付を受けた側では、その通知に基づき、みなし配当に係る益金不算入の調整等を行なうことになる。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています