ビジネスわかったランド (税務)

売上原価

棚卸資産の評価方法

(1)評価方法の種類

棚卸資産の評価方法には次の種類がある。
原価法 個別法 期末棚卸資産の全部について、その個々の取得価額を期末評価額とする方法
先入先出法 期末棚卸資産が期末近くに取得したものから順次構成されているものとみなして、そのみなされた棚卸資産の取得価額を期末評価額とする方法
総平均法 期首棚卸資産の取得価額の総額と期中に取得した棚卸資産の取得価額の総額との合計額を、それらの総数量で除した単価によって期末棚卸資産を評価する方法
移動平均法 同じ種類等に属する棚卸資産を取得した都度、その取得価額とその時において有する棚卸資産の取得価額とを平均して帳簿価額を定め、この繰り返しにより順次期末まで移動して期末評価額を定める方法
最終仕入原価法 事業年度の最後に取得したものの単価で、期末棚卸資産を評価する方法
売価還元法 期末棚卸資産の通常の販売価額の総額に原価率を乗じて期末棚卸資産を評価する方法
低価法 期末棚卸資産を種類等の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて原価法のうちいずれかの方法により算出した取得価額と、事業年度終了の時における価額(時価)との比較し、いずれか低い価額をもってその評価額とする方法

(2)評価方法の選定

  1. 届出上記(1)のいずれの評価方法によるかは法人の選択によるが、棚卸資産の評価方法につきそれぞれの事業の種類ごと、かつ、棚卸資産の区分ごとに、いずれか1つを選定して、次に掲げる日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに納税地の所轄税務署に届け出なければならない。

    ◆新設法人⇒設立の日
    ◆設立後新たに事業を開始または事業を変更した法人⇒開始または変更の日

  2. 届出がない場合(法定評価方法)上記1の届出がない場合には、最終仕入原価法による原価法によることが強制される。
    会計上の評価方法と税務上の評価方法が異なる場合は、税務上の評価方法(届出がない場合は最終仕入原価法による原価法)により評価した期末棚卸高に基づく売上原価の額が損金算入されることになるため、別表調整が必要となる。
  3. 変更する場合設立や新たに事業を開始した後、特に届出もなく最終仕入原価法による原価法により棚卸資産を評価していた会社が、その後において他の評価方法に変更したい場合や、会計上の評価方法と税務上の評価方法を合わせるべく評価方法を変更したい場合などは、評価方法を変更しようとする事業年度開始の日の前日(前事業年度末日)までに、納税地の所轄税務署長に変更承認申請書を提出し、その承認を受けなければならない。

    上記1は事業開始当初の届出であるため、税務署長の承認は必要なく、届け出た方法により評価することが認められるが、その後の変更は税務署長の承認が必要となり、勝手に変更することは許されない。

    変更しようとする評価方法では適正な計算は行なわれないと判断されたときや、現状の評価方法の採用後3年間経過していないときなどは、その変更承認申請が却下されることもあるため、承認の有無を必ず確認する必要がある。

    なお、変更しようとする事業年度終了の日までに税務署長から承認または却下の処分がないときは、その日において承認されたものとされる。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています