ビジネスわかったランド (税務)

税務調査

税務調査開始
税務署管轄の会社の税務調査は、一般的に下記のスケジュール(3日間の場合)で行われる。日程は調査規模に応じて、2日間もあれば1週間ということもあり得る。国税局管轄の場合には、1か月またはそれ以上となることが多い。
1日目 10:00~12:00 挨拶
概況説明
調査官、代表者、担当者、顧問税理士が一堂に会し、挨拶、会社の概要等の説明を行なう
13:00~17:00 調査 担当者へのヒアリングや関係資料により、取引内容、税務処理を確認していく
2日目 10:00~17:00 調査 同上
3日目 10:00~15:00 調査 同上
15:00~17:00 総括 調査による指摘事項を取りまとめ、会社側へ伝達
税務調査が行われるからといって、過度に恐れる必要はない。次のような心構えで税務調査に臨むとよいと思われる。

◆ウソはつかない
◆けんか腰に対応しない
◆余計なことをいわない
◆曖昧なまま回答しない
◆必要以上に慎重にならない
◆資料をあとからつくらない
◆わからないことは「わからない」という
◆調査官を敵視しない
◆必ずメモを取る
◆渡した書類はコピーを取っておく

(1)調査開始

まずは、代表者や経理担当役員、経理担当者、顧問税理士等の会社側関係者と税務調査官が一堂に会し、開始にあたっての挨拶と会社の概況説明などが行われる。調査官は事前に提出された確定申告書や決算書などから調査ポイントをあらかじめ準備してくるが、たとえば、原価率の変動理由や特別利益、損失の発生経緯など、この場でその内容を確認してくることもある。

●会社概況(設立から現在まで、支店・店舗・工場等事業所の確認など)
●業績推移(売上や費用、利益に大幅な変動がみられる場合にはその理由)
●役員、株主関係(就任経緯、変更の有無、理由など)
●社長個人の経歴、趣味など

また、事前に調べたポイント以外に、この場の会話から他の調査ポイントを探っているため、聞かれたことには回答するが、余計なことまで話をしないように注意したい。雑談と思われるような話でもポイントを探っている。

(2)調査中の対応

調査自体は、帳簿や契約書等の書類を確認しながら、調査官が疑問に思ったことや確認したいことがあれば、経理担当者や顧問税理士にヒヤリングして進められる。会社担当者は、通常業務もあることと思われるため、常に同席している必要はない。会社担当者や顧問税理士が同席する場合には、そのつど、追加資料の要求やヒヤリングも行われるが、同席できない場合には、時間のある際にまとめて対応することも可能である。

調査官からの質問に対しては正確に回答し、また、書類などの提示または提出が求められた場合には、これに応じる義務がある。偽りの回答や、正当な理由がなく、書類の提示・提出に応じない場合や、虚偽の書類を提示・提出した場合には、納税者に対し 罰則規定(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)が設けられている。 ただし、調査に関係ないものと思われるものまで応じる必要はなく、その質問の意図が不明の場合には、調査官になぜ必要なのかを確認することが大事である。

また、追加資料の要求や質問への回答は、その場で対応できるのがベストだが、質問や書類の内容によっては、その場では説明できないこともあるため、必ずしもその場で対応しなければいけないものでもない。曖昧な回答や不十分な資料を提出し、その内容に虚偽があることが判明した場合には、意図的かどうかに関わらず問題になるため、きちんと確認してから、後日、正確な回答や十分な資料を提出することが大事である。ただし、あまりに時間を要するようであれば、何か不都合があるのではと勘ぐられることもあるため、できる限り、速やかな対応を心掛けたい。

想定していたよりも確認事項が多い場合などは、調査日程の追加を依頼されることもあるが、特別の事情がない限りは、応じる必要がある。ただし、時期については、再度協議のうえ、会社の都合で決めても問題ないと思われる。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています