ビジネスわかったランド (税務)

引当金

貸倒引当金-個別評価金銭債権
法人が有する金銭債権のうち、下記(1)から(3)に掲げる事由が生じた債権(令和4年4月1日以後に開始する事業年度からは完全支配関係がある他の法人に対するものを除く。)については、それぞれに掲げる区分に応じて債務者ごとに計算した回収不能見込額が繰入限度額となる。
なお、売掛金、貸付金その他これらに類する金銭債権の貸倒れが見込まれる以外に、例えば保証金、前渡金等について返還請求を行なったものの返還請求債権の回収不能が見込まれる場合にも、個別評価金銭債権として繰入限度額を計算することができる。

(1)法令等により長期棚上げにされている債権

会社更生法の更生計画認可の決定等一定の事由(※)が生じたことにより、その弁済を猶予され、または賦払により弁済されることとなった場合には、次に掲げる算式により計算した金額が繰入限度額となる。

(※)一定の事由とは次に掲げる決定等をいう。

◆会社更生法等の規定による更生計画認可の決定
◆民事再生法の規定による再生計画認可の決定
◆会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定
◆私的整理手続に基づく合理的なもので上記に準ずるもの(債権者集会による決定など)

(2)債務超過の状態が継続したことによりその一部につき取立等の見込みがない場合

債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、かつその営む事業に好転の見通しがないこと、災害、経済事情の急変等により多大な損害が生じたことその他の事由により、その金銭債権の一部につき担保権の実行その他による取立等の見込がないと認められる場合には、次に掲げる算式により計算した金額が繰入限度額となる。

なお、この場合の相当期間とは、「おおむね1年以上」とされており、その債務超過に至った事情と事業好転の見通しをみて判定することになる。

(3)会社更生法の規定による更生手続き開始の申立て等の事実が生じた場合

債務者につき、会社更生法の規定による更生手続開始の申立等一定の事実(※1)が生じた場合には、次に掲げる算式により計算した金額が繰入限度額となる。

(※1)一定の事実とは次に掲げる事由をいう。

◆会社更生法等の規定による更生手続き開始の申立て
◆民事再生法の規定による再生手続き開始の申立て
◆破産法の規定による破産手続き開始の申立て
◆会社法の規定による特別清算開始の申立て
◆手形交換所による取引停止処分
◆電子債権記録機関による取引停止処分

(※2)実質的に債権とみられない金額とは次のような金額をいう。

◆同一人に対する売掛金または受取手形と買掛金がある場合のその売掛金または受取手形の金額のうち買掛金の金額に相当する金額 ◆同一人に対する売掛金又は受取手形と買掛金がある場合において、その買掛金の支払のために他から取得した受取手形を裏書譲渡したときのその売掛金または受取手形の金額のうちその裏書譲渡した手形(支払期日の到来していないものに限る)の金額に相当する金額 ◆同一人に対する売掛金とその者から受け入れた営業に係る保証金がある場合のその売掛金の額のうち保証金の額に相当する金額 ◆同一人に対する売掛金とその者から受け入れた借入金がある場合のその売掛金の額のうち借入金の額に相当する金額 ◆同一人に対する完成工事の未収金とその者から受け入れた未成工事に対する受入金がある場合のその未収金の額のうち受入金の額に相当する金額 ◆同一人に対する貸付金と買掛金がある場合のその貸付金の額のうち買掛金の額に相当する金額 ◆使用人に対する貸付金とその使用人から受け入れた預り金がある場合のその貸付金の額のうち預り金の額に相当する金額 ◆専ら融資を受ける手段として他から受取手形を取得し、その見合いとして借入金を計上した場合のその受取手形の金額のうち借入金の額に相当する金額 ◆同一人に対する未収地代家賃とその者から受け入れた敷金がある場合のその未収地代家賃の額のうち敷金の額に相当する金額

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています