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圧縮記帳

圧縮記帳の種類と申告要件

(1)圧縮記帳の種類と経理方法

圧縮記帳の制度のうち主なものは、以下のとおりである。
各制度により、採用できる経理方法が異なることに注意が必要である。
圧縮記帳の種類 (1)損金経理により帳簿価額を減額する方法 (2)確定した決算において圧縮積立金として積み立てる方法 (3)決算確定日までに剰余金の処分により圧縮積立金として積み立てる方法
法人税法上の圧縮記帳 国庫補助金等で取得した固定資産等
保険金等で取得した固定資産等
交換により取得した資産
租税特別措置法上の
圧縮記帳
収用等に伴い取得した代替資産
特定の資産の買換え等により取得した資産

(2)国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳

内国法人が、固定資産の取得または改良に充てるために、国または地方公共団体から補助金等の交付を受けた場合において、その補助金等をもって、その交付の目的に適合した固定資産の取得または改良をしたときは、その取得または改良に充てた補助金等の額に相当する金額の範囲内で圧縮記帳が認められる。
また、内国法人が、国または地方公共団体から補助金等に代わるものとして固定資産の交付を受けた場合にも、その固定資産の価額に相当する金額の範囲内で圧縮記帳が認められる。

(3)保険金等で取得した固定資産等の圧縮記帳

内国法人が、固定資産の滅失または損壊により保険金等の支払を受け、一定期間内にその保険金等により、滅失した資産に代替する同一種類の固定資産を取得、または損壊した資産等の改良をした場合には、保険差益金の額を基礎として計算した圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳が認められる。

(4)交換により取得した資産の圧縮記帳

内国法人が、有していた固定資産のうち以下の「譲渡資産」の要件を満たすものを、以下の「取得資産」の要件を満たすものと交換した場合には、その取得資産について、その交換差益金の額を基礎として計算した圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳が認められる。

a)譲渡資産の要件

・1年以上有していた固定資産で、次に掲げる種類のものであること

土地等
建物(附属設備および構築物を含む)
機械および装置
船舶
鉱業権(租鉱権等を含む)

b)取得資産の要件

・交換の相手方が一年以上有していた固定資産であること
・譲渡資産と同一種類の資産であること
・交換の相手方が交換のために取得したと認められるものでないこと
・譲渡資産の用途と同一の用途に供すること

(5)収用等に伴い取得した代替資産の圧縮記帳

法人の有する資産につき、収用等または換地処分等があった場合において、収用等または換地処分等による補償金等により代替資産を取得したときは、その代替資産について、一定の方法により計算した圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳が認められる。
なお、一定の要件を満たした場合には、圧縮記帳の適用に代えて、補償金等の額のうち5,000万円に達するまでの金額を損金の額に算入する処理も認められる。

(6)特定の資産の買換え等により取得した資産の圧縮記帳

法人が、特定の資産(棚卸資産を除く)を譲渡し、一定期間内に特定の資産を取得して事業の用に供した場合に、一定の圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳を認める制度である。
この制度は、土地の有効利用の促進、長期保有資産の買換え促進等を税制面から後押しするために設けられている制度である。その目的を達成するために、目的に応じて譲渡資産と買換資産の組み合わせが詳細に定められている。

(7)圧縮記帳の申告要件

圧縮記帳の適用を受けるためには、原則として、確定申告書に損金算入に関する明細書を添付する必要がある。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています