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その他の税目

印紙税の概要

(1)印紙税とは

印紙税は、事業者や消費者が行う取引につき、契約書や領収書等の課税文書を作成した場合に課される税金であり、その作成者が納税義務者となる。

(2)印紙税の納付方法

印紙税の納付方法は、主に以下の2つの方法となる。
  1. 収入印紙による納付(原則)
    課税文書に課されるべき印紙税相当額の収入印紙を購入し、課税文書に印紙を貼り付ける方法である。さらに貼り付けた印紙に印鑑または署名で消印を押す必要がある。
  2. 書式表示による納付(特例)
    領収書など、課税文書が毎月継続的に作成されるようなものである場合などでは、所轄税務署長の承認を受けて、上記1の方法に代えて、金銭により納付することができる。

(3)印紙税が課される文書

印紙税が課される文書は「印紙税の課税文書一覧」に掲げる20種類のものに限定されており、その内容や金額に応じて印紙税額も異なる。

(4)実務上のポイント

  1. 契約書
    契約書、協定書、約定書、覚書など、文書の名称のいかんにかかわらず、契約当事者間において契約の成立、更改、内容の変更や補充の事実を証明する目的で作成される文書が該当する。
    なお写し、副本、謄本等であっても契約当事者の書名のあるもの、押印があるものなど、契約の成立等を証明するものは課税文書に該当するが、署名、押印のある正本をコピーしただけのものは課税文書に該当しない。
  2. 記載金額
    記載金額は、契約金額、受取金額など、その文書により証されるべき事項に係る金額としてその文書に記載されている金額をいう。契約金額の一部が記載されている場合はその金額が、単価・数量などにより計算できる場合はその計算した金額が、月単位等で契約金額を定めている場合は契約書上の契約期間によって算出した金額が記載金額とされる。
    なお、原則として消費税込の金額が記載金額とされるが、その文書において消費税が区分記載されている場合には、その消費税は記載金額には含まれず、本体価格のみが記載金額とされる。

(5)印紙を貼らなかった場合(過怠税)

納付すべき印紙税を課税文書に貼らなかった場合には、ペナルティとして過怠税が課されることになる。過怠税の金額は、その状況に応じて以下のとおりとなるが、法人税法上、損金の額に算入されないため注意が必要である。
  貼付等の状況 過怠税の金額
(損金不算入額)
損金算入額 損金不算入額
10,000円の印紙を貼付すべきところ (1) 適正に貼付し、消印がされている場合 10,000円 0円
(2) 貼付の失念が調査で指摘された場合 本来納付すべき印紙税の3倍の金額 0円 30,000円
(3) 貼付漏れを自主的に税務署長に申し出た場合で、その申出が税務調査を予知されたものでないとき 本来納付すべき印紙税の1.1倍の金額 0円 11,000円
(4) 貼付はしたが、消印がされていなかった場合 消印されていない印紙税に相当する金額 10,000円 10,000円

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています