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特別償却

特別償却のしくみ

(1)特別償却制度の概要

法人の投資促進や中小企業対策等の政策的な観点から、租税特別措置法においては、法人が一定の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合に、特別償却を認める制度が設けられている。

特別償却は、普通償却限度額とは別枠で、特別償却限度額に達するまでの金額を損金の額に算入できる制度である。したがって、特別償却の適用を受ける事業年度の償却限度額は、普通償却限度額と特別償却限度額の合計額となる。

特別償却制度には、以下に掲げる制度がある。

(1)取得価額の一定割合を償却できる制度
(2)普通償却限度額の一定割合を割増し償却できる制度

(2)特別償却の適用を受けるための要件

特別償却の適用を受ける場合には、一定の経理を行うことと、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書、および適用額明細書の添付が必要である。一部の特別償却制度には、特別償却の対象となる資産に該当することにつき、主務官庁の証明書等の添付が必要となるものもある。

(3)償却不足額の繰越し

特別償却は、原則として、対象となる資産を事業の用に供した事業年度において適用を受けることができる制度である。ただし、事業の用に供した事業年度において生じた特別償却不足額は、1年間の繰越しが認められる(※)。

なお、繰越制度の適用を受けるためには、特別償却不足額が生じた事業年度から特別償却の適用を受ける事業年度まで、連続して青色申告書を提出していることが要件とされている。

(※)普通償却費について生じた償却不足額は、翌事業年度に繰り越すことはできない(償却不足額は切り捨てられる)。

(4)特別償却の重複適用

法人が取得した減価償却資産が、複数の特別償却制度の対象となる場合であっても、重複適用は認められていない。いずれか1つの制度のみ適用を受けることができる。

著者: あいわ税理士法人
http://www.aiwa-tax.or.jp/

※2022年6月1日現在の法令、ガイドライン等に基づいています