ビジネスわかったランド (経営・社長)

経営計画の立て方・進め方

流通チャネルは?
流通チャネルには、卸売業者や代理店、販売店などを使う従来型の間接チャネルと、テレビや雑誌、インターネットを活用して顧客と直接コンタクトをとる直接チャネルとがあります。
チャネルの構築は、口で言うほど簡単ではありません。たとえば販売チャネルとして直営店をオープンするには、保証金や内装費用などの初期投資がかかりますし、地域の住民に認知してもらうまで時間もかかります。このようにチャネルづくりには、多くの投資と時間がかかるので、やみくもに増やせばよいというものではないのです。

効果的な流通チャネルをつくるには、チャネルの長さと幅という視点から考えるのが有効です。

●販売チャネルの長さ

チャネルの長さとは、自社からお客さままでの段階がいくつあるかということです。具体的には、エンドユーザー(顧客)に商品が届くまでに、いくつの中間業者(卸売業者や販売代理店など)を使うのか、またどのようなタイプの中間業者と取引するのかを検討します。
短いほど、顧客との距離が近くなり、顧客との関係が密になるメリットがありますが、長いほうがチャネル間でリスクが分散できます。

●販売チャネルの幅

販売チャネルをどこにするか、どれだけ広げるかということです。
販売チャネルの選び方には、次の3つの方法があります。
(1) チャネルを選ばない方法
原則として、売上拡大のため、取引を望むすべての相手と取引を行ないます。しかし、販売会社をコントロールできない、小ロットの取引先が増えて販売コストがかかるなどのデメリットがあります。チャネル間で販売競争が発生し、価格の下落や商品のイメージダウンにつながる可能性もあります。

(2) チャネルを絞る方法
販売会社の販売力やネットワーク、自社への協力度、他社商品の取扱状況などを考慮して、条件の合った相手とのみ取引を行ないます。(1)の方法よりもシェア拡大のスピードは落ちますが、チャネルを限定しているため、販売先の管理が容易で、販売コストが少なくてすみます。

(3) 排他的なチャネルをつくる方法
特定の地域や商品の販売業者にのみ独占的に販売権を与える方法で、専属代理店契約や独占販売契約等があります。フランチャイズもこれに該当します。
ロゴや内装を統一する、などの方法がとりやすく商品の独自性を高めやすい、販売先の管理が簡単などのメリットがあり、商品にブランド力のないベンチャー企業に適した方法と言えます。しかし、チャネルの維持にコストがかかる、販売業者が主体的に販売をしなくなるなどのデメリットもあります。
効果的な流通チャネルを選ぶには、次の視点で考えるとよいでしょう。
  • ターゲット顧客が購入しやすいチャネルはどれか
  • 他社商品と差別化し、自社の競争優位性を維持できるチャネルはどれか
  • 最も少ないコストで効果を発揮できるのはどこか

Q. 流通チャネルは?(例)

●取引をする相手
  • 高級スーパーとナチュラルローソン
    年収が高く食の安全に対する意識が高い顧客がターゲットであることを考慮して、高級スーパーを中心に展開することを決定。調査の結果、高級スーパーとコンビニ利用者の層が重なることから、ナチュラルローソンでの販売も考える。
  • ネットショップ
    加工業者の顔が見える食品をコンセプトに、楽天内にネットショップを開設し、顧客との双方向のコミュニケーションを図る。
  • 小学校
    高級スーパーの立地に合わせて、公立の小学校給食にソイ・マヨの供給を推進。小学校給食への供給は、家庭の食卓への導入口として重要な意義がある。
●取引をしない相手
ソイ・マヨは健康食品ではなく、「美味しくて安全、カロリーの少ない高級マヨネーズ」というポジショニングを認知させるため、いわゆる健康食品を主に扱う店舗や通販業者とは取引しないことに決定。