ビジネスわかったランド (経営・社長)

経営計画の立て方・進め方

顧客にとっての価値は何か?
どんなに優れた商品やサービスを提供しても、お客さまがこちらの思惑通りに動いてくれるという保証はありません。1つの状況分析、1つの仮説がぶれるだけで、マーケットから思いもよらない反撃を受けることがあります。
フェイスブックの最初のチャレンジは、「ニュース・フィード」でした。これはたとえば、Aさんの友達の原さんと吉田さんが一緒にゴルフに行ったなど、友達の行動情報が、自動的にAさんのホームページ上に表示されるシステムです。フェイスブック創始者のマーク・ザッカーバーグは、ユーザーは24時間いつでも、友達が何をしているのか知りたいはずだと考えたのです。
しかしニュース・フィードのサービスが始まるや否や、フェイスブック内に「アンチ・ニュースフィードグループ」ができあがり、そのメンバーは数日のうちに70万人を超えてしまいました。フェイスブックは、「ストーカー・ブック」と呼ばれ、創業以来最大の危機を迎えます。その後、仕様を変更して難局を乗り切りましたが、顧客が望んでいるものの本質を、ほんの少しだけ読み間違えた結果でした。
しかし、すべての会社が、このように顧客とのコミュニケーションツールを持っているわけではありません。反撃よりもっと怖いのは、顧客から無視をされてしまうことです。無視されてしまえば、顧客の声にさえ気づきません。

この質問は、あなた自身があなたの会社のお客さまになった気持ちで考えてみましょう。

顧客にとっての価値とは

さて、顧客にとっての価値には、次のようなものがあります。
  • 付加価値
    お客さまは、単に価格だけでなく、サービスなど商品に付随する付加価値を購買決定要因にすることがあります。たとえば車検は、どこの修理工場で受けても、本来のサービス内容や価格に大きな差異は生まれません。自社のターゲット顧客が、価格の安さを判断基準にしているのか、多少価格は高くても引き取りサービスやその他のアフターサビスを期待しているのかがわからないまま、サービスメニューを決定するのは危険です。
  • 時間価値
    顧客にとって、時間は重要な価値基準になります。人々の生活スタイルが変化し、特にインターネットの普及によって時間と空間が短縮され、瞬時に世界とつながるようになったため、時間価値の重要性はますます高まっています。忙しい顧客にとっては、24時間対応やタイムリーな対応に、最大級の価値があるわけです。顧客にとっての最適な時間感覚やスピード感覚を検討して、お客さまが求める時間価値を提供していくことが大切です。
  • 安全価値
    安全性は、顧客が商品やサービスに求める価値基準の1つになっています。人々はインターネットの普及で、情報に対するセキュリティの問題や、情報の正確性などに価値を見出すようになりました。
  • ブランド価値
    お客さまは、商品の機能やサービスの内容だけでなく、商品やサービスに対するイメージやステータス・シンボル、愛着などのブランドに価値を見出す場合もあります。ブランドとは、消費者が抱く「この企業は絶対に自分たちを裏切らない」という信頼感のことです。これは一朝一夕に構築できるものではありませんが、一度認知されたブランド価値は、企業の利益に最大限の効果をあげることができます。
上記のような顧客の視点に立ち、顧客に自社の商品を購入しなければならない理由を提供することが、成功する事業計画書を作成する秘訣です。

Q. 顧客にとっての価値は何か?(例)

安全価値。食品の偽装表示など、これまで以上に消費者は、食に対する不安を募らせている。そこで、生産者や加工会社の顔を見せながら、できるだけ食品添加物を使用しない、原料になる大豆は遺伝子組み換えではないことを保証し、食に対する不安を解消することが、顧客にとって最大のメリットと考えた。つまり、顧客の「不安」を取り除くことが、顧客価値。

※外部環境の分析を受け、食品添加物や遺伝子組み換え、食品の偽装表示など、食に対して顧客の持つ不安を解消することが、顧客価値であると定義しています。