ビジネスわかったランド (経営・社長)

経営計画の立て方・進め方

あなたが喜ばせたい人は誰か?
ここでは有機栽培の大豆でつくられたマヨネーズ「ソイ・マヨ」を発売するベジダブル・マヨネーズ社(ベジ・マヨ社)の事業計画書の作成の流れに沿って説明をしていきます。この段階では、思い込みでもOKですので、あなたの想いを書いてみてください。

ミッションを書き出す

コンセプトの根底には、この事業にかける経営者や事業責任者の強い信念が含まれていることが大切です。
信念とは、あなたがその事業を通して、どんな社会を実現したいと思っているか、ということです。人には必ず、社会の中で果たすべき役割があります。事業をはじめるにあたって、あなたが果たすべき役割=ミッションとは何か、を考えていきましょう。
もしかしたら、自分は家族の生活のために儲かる事業を考えているだけだ、という方もいるかもしれません。しかし、それでも数ある事業の中からあなたがそのビジネスを選んだ理由が、必ずあるはずです。その理由こそ、あなたがこの世で成すべき何か、つまりあなたのミッションなのです。
ミッションを考えるときは、次のような問いかけをするとよいでしょう。
  • 自分が実現したい理想の世の中はどんな社会か
  • 人生で、一番大切にしているものは何か
  • 人生で、一番失いたくないものは何か
新商品を開発する、新しい店舗を借りる、採算の合わないサービスを停止する……。事業を動かしていくということは、判断と選択の連続です。選択に迷ったとき、ミッションを明確にしておけば、判断に迷うことはありません。たいていの悩みは、目先の利益とミッションのどちらを優先すべきかで揺れ動くところに原因があるからです。
近年、ミッションを無視して、目先の利益を追求したがために、お金だけでなく、信用というかけがえのない財産を失ってしまう企業が後を絶ちません。人は往々にして自分を失い、判断を誤るものです。そのためにも、まずミッションを明確にしておくことが大切です。

誰のためのミッションか

次に、それは誰のためのミッションなのかを明確にします。または、あなたは誰の役に立ちたいのか、と考えるのもいいでしょう。
顧客のターゲットの戦略的な絞り込み方については、次項で詳しく説明しますが、ここでは、まず顧客を1人だけ具体的にイメージします。「具体的に」とは、たとえば銀座4丁目の交差点で呼びかけたときに、自分のことを呼ばれたのかしら、と振り向いてくれる程度の絞り込みという意味です。
この場合、「丸の内で働いているOL」では、まだ不十分です。「丸の内で働いている30代のOLで、結婚している人」、「丸の内で働いている30代のOLで、結婚して小学生の子供がいる人」。かなり絞られてきましたね。「丸の内で働いている30代のOLで、結婚して小学生の子供がいるが、その子がアトピーで悩んでいる」。ここまでくると、食品の安全性に対して敏感で、なおかつ経済的にも恵まれている若いお母さんというターゲットが明確になります。

Q. あなたが喜ばせたい人は誰か?(例)

  • ミッション
    誰もが安心して口にできる食材を提供し、アレルギーのために好きな料理をあきらめるという悲しい体験をしなくてもいい世の中をつくること。
  • 喜ばせたい人
    アレルギーで苦しむ子供やその親、食の安全に不安を抱く若いお母さん。

※アトピーのせいで食べたいものを食べられない子供たち。それを見て誰でもが安心して食べられる食材をつくりたいという想いを文章にしました。