ビジネスわかったランド (経営・社長)

経営計画の立て方・進め方

「事業計画書」を構成する5つのパート
事業計画書には、法律で決められた書式はありません。日本政策金融公庫の窓口で渡されるA4用紙2~3枚程度のものもあれば、上場を目指してベンチャーキャピタルに出資を依頼する際などは、100ページにわたる大作をつくる場合もあります。つまり、事業プランの数だけ事業計画書の種類があるのです。
では、最低限どのような項目を押さえておけばよいのでしょうか。
本稿では、事業計画書を次の5つのパートに分けて作成していきます。

(1)この事業に対する想いを伝え、共感してもらうパート

ビジネスでは日々、他社よりもいかに大きな価値を提供できるか、という競争が行なわれています。優れた価値を提供できない者、価値を提供し続けることができない者は、マーケットという戦場から撤退しなければなりません。
そこで最初のパートでは、あなたが勝てる可能性の高い戦場はどこかを示すと同時に、この事業に対するあなたの想いや社会的な意義を伝えます。ここでは次のような項目が必要です。
  • 「事業コンセプト」…事業へのあなたの想いを共感してもらうのが目的です。
  • 「5年後のビジョン(中期ビジョン)」…あなたの仲間や支援者に「目指しているゴール」を具体的に見せます。
  • 「事業ドメイン」…戦うべき戦場はどこかを明らかにします。

(2)大局的な事業戦略を客観的なデータに基づいて検討するパート

2番目のパートでは、市場をとりまく状況、競争相手の動向、あなたの会社が持っている資源を分析して、上記で選んだ戦場を勝ち抜くための、最も効果的な戦略をまとめます。必要な項目は以下です。
  • 「この事業が求められる背景」…社会環境や経済情勢の影響を受けずに成立するビジネスはありません。まず戦場をとりまく外部環境を分析します。
  • 「市場規模」…どんなに優れたビジネスプランでも、市場規模が小さければ事業化はできません。市場の大きさを調査します。
  • 「競合他社の動向」、「顧客のメリット」、「自社の強み」…市場は、自社と他社と顧客の三者の三角関係で成り立っています。敵を知り己を知って、戦場で勝ち抜くための事業戦略を練り上げます。

(3)個別・具体的な事業戦術をまとめるパート

どんなに優れた戦略を立案しても、それだけでは勝ち残ることはできません。本当に売れる商品なのか、実効性のある組織体制になっているのか、キャッシュの源泉は確保されているのかなど、具体的な戦術を決定していきます。
  • 「商品・サービス説明」…商品・サービス等の特徴や強み、価格について具体的に説明します。
  • 「販売戦略」…どうやって商品を売るのか、販売チャネルや営業戦略、広告宣伝の方法などについて説明します。
  • 「ビジネスモデル」…利益の源泉を確保すると同時に商流・金流・物流について図示します。
  • 「社内組織図」…組織として事業をどう推進していくかを図示します。

(4)目標達成のプロセスを数字に落とし込むパート

事業が成功したかどうかの判断は、どれだけ儲かったのか、いくら現金が増えたのかなど、数字で評価されます。信頼できる事業計画書とは、どれだけ信ぴょう性のある数字の裏付けがあるかにかかっています。
  • 「売上計画」…利益の源泉となる重要な数値です。この部分の説得力が弱いと、事業計画書そのものの信頼性を損ねてしまいます。
  • 「売上原価計画」…売上計画に最も影響力のある経費項目で、売上に連動して変化します。
  • 「人員計画」…予定した売上があがらなくても、毎月一定額が発生する、簡単に辞めさせられないなど、利益に及ぼす影響力の大きな経費項目です。
  • 「設備計画」…一度に多額の現金が必要となる項目なので、資金繰りに与えるインパクトの大きな項目です。
  • 「利益計画」…要するに「一体いくら儲かるのか?」を計算します。支援者が最も知りたい情報であり、事業計画書のキモの部分です。

(5)「勝利の方程式」をわかりやすくまとめたパート

  • 「この事業が成功する理由」…最後に、事業の核心とあなたが最も伝えたかったメッセージを要約してまとめます。