ビジネスわかったランド (経営・社長)

経営計画の立て方・進め方

経営計画を作成するうえの7つの問題点と対策

経営計画では、現実的ではない計画や低い目標を設定してしまうこともある。
チェック表を使って経営計画を作成することが欠かせない

経営計画のトラブルを未然に防ぐ

経営計画を作成していくうえで発生する問題について説明します。

(1)現実離れした計画を作ってしまう

自社の置かれている外部環境や内部環境を考えないで、自社として理想的な姿だけを浮かべて作ってしまうのです。そうなると、でき上がった経営計画は理想的な反面、現実では到底達成できないものになってしまいます。現実的に達成できない計画に対して、社員は「できるはずがない」と思ってしまい、やる気を失ってしまいます。

(2)やさしい計画を作ってしまう

経営計画は「経営ビジョン」をもとに、「経営目標」「経営方針」「目標利益計画」「主要施策」「行動計画」を作成します。しかし、経営ビジョンのレベルを低くしてしまった場合には、経営目標以下も低く作成されることになるので、簡単に達成できるような目標として設定されます。実施していく社員は楽ですが、経営計画を達成したときの成果はとても小さくなってしまいます

(3)経営計画の内容に整合性がない

「経営ビジョン」「経営目標」「経営方針」「目標利益計画」「主要施策」「行動計画」は、それぞれに関連性があります。そのため、それぞれがまったく関連しないままに作られると、経営計画の内容はバラバラになってしまいます。その結果、最終的には経営目標を達成できなくなり、経営ビジョンの達成も当然できません。

(4)定量的な目標が設定されていない

経営目標、主要施策、行動計画に定量的な内容が設定されていない場合には、成果が測定できません。そのため、「目標に向かってどこまで進んでいるのか」、あるいは「目標にほんとうに近づいているのか」がわからなくなってしまいます。
また、経営計画の成果が出ているのかも把握できません。成果がわからなければ、社員が達成感を味わうことができず、やる気がなくなったり、仕事がマンネリ化したりしてきます

(5)PDCAが回っていない

PDCAとは、管理のサイクルといわれており、計画(Plan:P)、実行(Do:D)、検証(Check:C)、改善(Act:A)の頭文字をとったものです。計画(Plan)を立て、実行(Do)し、その検証(Check)にもとづいて改善(Act)という工程を繰り返す業務マネジメントのツールとして用いられています。

●管理のサイクル(PDCA)

管理のサイクル(PDCA)
経営計画でもPDCAを利用します。具体的には、目標利益計画や行動計画で月別に目標を設定し、毎月実行します。しかし、計画と実行との差異を検証せず、差異対策もしないのでは、何も改善しません。差異が生じている場合には、その原因を追及するとともに改善策を講じなければなりません。何もしなければ、結果は出ないのです。

(6)経営目標や目標利益計画に根拠がない

経営目標の数字や目標利益計画を設定しても、それを達成できる根拠がなければ達成できません。作成した主要施策や行動計画の中に、経営計画の数字を達成できるものの根拠が求められるのです。
もし、主要施策や行動計画の中に経営目標や目標利益計画の根拠がなければ、単に願望の数字でしかありません。

(7)現場が経営計画を知らない

社長とごく一部の幹部のみで経営計画を作成し、その他の社員には発表しないことがあります。これでは、現場は経営計画のことを何もわかりません。
そのため、社員には何の目的意識もなく、単に日常業務を行なっているだけになります。経営計画が上層部だけで空回りして、現場がついてこないのでは、経営計画の成果は期待できません

経営計画における問題を発見するためのチェックポイント

作成した経営計画の問題点を発見するためには、下表の「経営計画のチェック表」を用いて確認する必要があります。ここで問題を発見した場合には、経営計画を見直す必要があります。
また、下表でとくに重要なのは、経営計画を具体的に推進していく主要施策と行動計画なので、該当項目をしっかりチェックしてください。
経営計画のチェック表
項目 チェック内容
経営理念 □経営理念は、わかりやすいか
□経営理念は、行動していくためのモノサシになるか
経営ビジョンと
経営目標
□経営ビジョンは、わかりやすいか
□経営ビジョンの内容は、到達基準として明確になっているか
□経営ビジョンを達成するための経営目標になっているか
□経営目標に成果が測定できる計数が入っているか
外部環境と内部環境 □会社を取り巻く外部環境の機会、脅威の分析は適切か
□会社の財務分析、社員の力量分析は適切か
□会社の強みは、明確になっているか
□会社の弱みは、明確になっているか
経営方針 □経営目標、外部環境、内部環境にもとづいた方針になっているか
□経営目標を達成するための人、物、金、情報の取組みは適切か
目標利益計画と
月別目標利益計画
□経営目標に対応した目標利益計画を作成しているか
□目標利益計画は、形式的に作成していないか
□年度の目標利益計画は、季節要因などを考慮しているか
□予算管理表で、計画と実績の差異対策ができているか
主要施策と行動計画 □主要施策は、目標利益計画をもとに作成しているか
□主要施策には、成果が測定できる施策が入っているか
□主要施策と行動計画は、連動しているか
□行動計画には、具体的に施策を実現する仕組みが入っているか
□行動計画の計画線表は、適切な期間を設定しているか
□行動計画管理表で、月別に具体的な行動内容を展開しているか
□行動計画管理表で、計画と実績の差異の検証と改善策はできているか
□行動計画と連動した個人目標管理となっているか
成果と反省 □目標利益計画の成果と反省ができているか
□行動計画の成果と反省ができているか
□総括欄は、年度全体を振り返り、成果と反省ができているか
その他 □経営計画は、全員で共有するため、平易な文章で書かれ、わかりやすいものになっているか