コンサルタントが経営計画の作成を指導する場合、次のようなさまざまな経営計画が数十枚にまで膨らんでいるケースをよく見かけます。

●数十枚の経営計画の項目

場合によっては、50枚を超える経営計画もあります。経営計画について説明している書籍でも、相当な枚数の経営計画を紹介していることがほとんどです。しかし、中小企業には活かせないのが実情です。
大企業の場合には、経営計画作成の事務局などを設けています。専任の担当者が経営計画を取りまとめているので、分厚い経営計画でも作成することができるのです。しかし、中小企業の場合には人数が限られており、経営計画を作る専任のスタッフがいません。売上高が10億円未満の企業になると、部門や職務を兼任していることがほとんどでしょう。
そのため、経営計画を作ろうとしても、日常の仕事に追われ、なかなか時間を作ることができません。ましてや、経営計画の内容が煩雑（はんざつ）になればなるほど、作成することがむずかしくなります。その結果、せっかく経営計画を作成しようとしても、途中で止めてしまったり、売上計画を立てるだけで終了してしまいます。
そこで、私は誰でも簡単に作成できるＡ４用紙１枚の経営計画を考えました。私がコンサルティングしている中小企業の経営者には、実際に利用してもらっています。次表のように、Ａ４用紙１枚の経営計画に必要な項目がすべて収まります。

Ａ４用紙１枚の経営計画は11の項目から構成されます。また、補完する道具として、年度単位で具体的に実施していく３つの管理表も併せて作成していきます。この３つの管理表は、経営計画の数値と行動の進捗状況を毎月管理していくものです。

●経営計画の構成と管理表

宮内　健次 （株式会社ちばぎん総合研究所 経営コンサル第二部担当部長）
出典： 『はじめての経営計画の作り方・活かし方』（宮内健次 著／日本実業出版社）