ビジネスわかったランド (経営・社長)

事業承継と相続対策

遺言の内容はなるべく単純なほうがいいのか?

遺言の内容が複雑だと、無効になる可能性が高くなります。
遺言書を書き進むうちに、あれも書きたい、これも書きたいとさまざまなことが頭に浮かび、どんどん文章が長くなることがあります。あるいは、相続人の名前や財産の金額を訂正するうちに、修正の跡だらけになって読みにくくなることもあります。
遺言書の訂正方法は民法で厳密に定められていて、間違ったやり方で訂正すると無効になります。もし書き間違えたときは、文面を訂正するよりも最初から書き直したほうが安全です。


<<遺言書を上手に書くポイント>>
第一に、いきなり文章を書き出さないで、下準備を完璧にしてから書き始めることです。誰に何を相続させるか迷っているようでは、まだ遺言書を書く段階とはいえません。まず頭の中を整理して、遺言の内容を確定させてから書き始めてください。
また、相続人の名前や不動産の所在地は、謄本などの資料で確認してから正確に下書きしましょう。

第二に、「遺言の内容はなるべくシンプルに」ということです。自筆証書遺言は、文章が長く複雑になるほど書き間違いが起きやすくなります。相続人の数が多かったり、遺言の内容が多岐にわたると、それだけミスをする可能性も高まるということです。「妻に全財産を相続させる」など、なるべく遺言の内容を単純にすることが失敗しないコツといえるでしょう。
また、遺族がもめる可能性がある遺言については、自筆証書ではなく公正証書遺言にすべきです。たとえば愛人に遺産をあげたり、婚姻外の子どもを認知する場合などでは、自筆証書遺言だと、遺族が遺言を実行するのをためらって、実現しない可能性があるからです。

 

著者
本田 桂子(NPO法人 遺言相続サポートセンター理事)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。