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事業承継と相続対策

自筆証書遺言の「リスク」を最小限に減らすコツは?

混乱を避けるために、遺言書は常に最新のものだけをのこすようにします。
紛失や改ざんなど、自筆証書遺言のリスクを減らすための主なポイントは次のとおりです。

<<「自筆」ゆえの注意事項>>
専門家に確認してもらう

法律に詳しくない人は、一度、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に、遺言書の内容面・様式面のチェックを受けることをおすすめします。自分では気づかなかった点を改善でき、遺言書の完成度が上がるとともに、将来予想されるトラブルを未然に防ぐことができます。

文字は丁寧に書く
極端なクセ字や省略文字など、第三者が判別できない文字は困りものです。文字を崩したり流したりしないで、一文字ずつ丁寧に、正確に書くようにしてください。

以前に書いた遺言書は破棄する
遺言書を新たに書き直したときは、以前の遺言書を破棄しましょう。複数の遺言書があると、遺族が自分にとって都合が悪いものを隠したり、破棄する危険があります。混乱を避けるために、同じ日に複数の遺言書をつくることも避けたほうがいいでしょう。

事情が変わったときは、すみやかに新しい遺言書をつくる
配偶者と離婚したり、養子と離縁したなど相続関係に重大な変更があった場合は、すみやかに遺言書の内容を変更しましょう。そのままでは、離婚相手に全財産が相続されるといった深刻な事態になりかねません。遺言書の中に書いた財産を処分した場合も、すみやかに遺言書を書き換えたほうがいいでしょう。

遺言書の控えをとっておく
遺言書を紛失したり、遺族が発見できないといった事態に備えて、遺言書のコピーをとっておきましょう。
もし遺言書が見つからなくても、コピーがあれば遺言者がどのように考えていたのかわかるので、遺族が遺産分割協議をする際の参考になります。また、コピーがあれば、本人が後で遺言の内容を見直す際にも役立ちます。
遺言書を作成する際の下書きやメモも、のこしておきましょう。

日記に書く
同様の理由で、遺言書を作成したことを日記に書いておくのもいいでしょう。遺族が後で、「この遺言書は親父の字じゃない」とか、「無理やり書かされたんじゃないか」と言い出したとしても、日記の記載を見れば納得してくれることでしょう。


数字は漢数字で書く
遺言書の本文で、金額・土地の地番などで使用する数字は、変造を防ぐために漢数字を使うのが望ましいでしょう(例:壱、弐、参、拾など)。


 

著者
本田 桂子(NPO法人 遺言相続サポートセンター理事)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。