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事業承継と相続対策

相続が発生したときの自筆証書遺言の実行手順は?

将来、実際に相続が発生するとどのような手順で遺言の内容が実行に移されるのでしょうか。以下に、その手順をまとめてみました。とくに、家庭裁判所で検認を受ける必要があることに注意してください。


<<すぐに相続手続きできない>>
(1)遺族が遺言書を発見する

遺言書が封筒に入っている場合、遺族がそれを勝手に開けてはいけません。家庭裁判所の検認を受ける前に開封すると、最高5万円の過料に処せられることになっています。遺言書が封筒に入っていない場合は、遺言書の内容を見るのは自由です。


(2)家庭裁判所で検認を受ける
相続人が裁判所に出向いて遺言書の検認を受けます。その際には、遺言者の除籍謄本や相続人の戸籍謄本、住民票、遺言者の自筆書類(日記や手紙)などを持参します。家庭裁判所に検認を申し立ててから、通常1~2ヵ月程度かかるようです。


(3)遺言書が有効か無効か確認する
検認は、遺言書の現状を確認するためのものであり、一種の証拠保全手続きです。遺言書の内容について判断するものではないので、検認を受けたからといってその内容が有効だと認められたわけではありません。有効か無効かが問題になる場合は最終的には裁判で争われ、裁判官が判断します。無効の場合には、相続人全員で遺産分割協議を行なうことになります。その際に、無効とされた遺言書の内容を参考にするかどうかは相続人に任せられています。


(4)遺言書の内容を実行する
遺言に基づいて遺産を分割し、不動産や預貯金の名義変更などの手続きを行ないます。もし、相続手続きに協力しない相続人がいる場合は、家庭裁判所に遺言執行者の選任を申し立てるといいでしょう。


著者
本田 桂子(NPO法人 遺言相続サポートセンター理事)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。