ビジネスわかったランド (経営・社長)

事業承継と相続対策

公正証書遺言に入れたほうがいい項目は?

スムーズに相続できるように項目を追加します。
公正証書遺言では、遺言の内容をよりスムーズに実行できるように、公証人がさまざまな項目を入れるように助言してくれます。
たとえば、「全財産を妻に相続させる」という遺言をしたい場合、自筆証書遺言だとその一文ですませることも可能ですが、それではあまりに文面がシンプルすぎて金融機関などの相続手続きがスムーズにいかない可能性があるので、次のような項目を追加することが考えられます。


<<追加してもらえる項目>>
預貯金と不動産の詳細

預貯金や不動産など重要な財産については、口座番号や所在地など財産を特定できる情報を記載します。

遺言執行者を指定する
相続人を代表して、遺言を執行する人を指定します。これにより、さまざまな面で相続手続きがスムーズに進みます。


遺言執行者に金融機関の手続きの権限を与える
預貯金の解約、貸金庫の開閉など。特に貸金庫の開閉については、遺言書で権限を与えておかないと金融機関が応じてくれない場合があります。


遺言書に定めのない財産が出てきた場合、誰に相続させるか指定する
この項目がないと、新たに財産が出てくるたびに遺産分割協議をしなければなりません。


祖先の祭祀の主宰者を指定する
誰がお墓を守るのか指定します。
一般的に、財産を多めにもらう人や、遺言者が亡くなったときに喪主になる人を指定することが多いようです。


予備的遺言
財産を相続させたい相手が、高齢や病気などで遺言者よりも先に亡くなる心配がある場合は、代わりに誰に相続させるか決めておくと安心です。
たとえば、「もし配偶者が私より先に死亡した場合は、財産は長男に相続させる」といったように記載します。


遺言執行者に支払う報酬の金額や、遺言執行にかかる費用をどこから支出するかを指定する
報酬については、相続発生後に相続人と遺言執行者の間で決めることもできるので、その場合は記載する必要はありません。


付言事項
遺言書の中に、本文とは別に、家族への感謝や遺言をした理由など、遺族へのメッセージを記述することができます。遺言者の肉声を盛り込むことで遺言の内容が遺族の心に染み通り、理解を得られやすくなるという効果があります。簡潔に記載することがポイントです。


 

著者
本田 桂子(NPO法人 遺言相続サポートセンター理事)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。