ビジネスわかったランド (経営・社長)

事業承継と相続対策

確実に遺言を実行するには?

遺言執行者を決めておくと、相続手続きのうえでさまざまなメリットがあります。
遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために必要な行為や手続きをする人のことです。相続人の代表者として、相続発生後に財産目録を作成したり、預貯金や不動産の手続きなど遺言の執行に必要な一切の行為をする権限があります。
法律では、子どもの認知や廃除をする場合は必ず遺言執行者を決めなければいけないと定めています。第三者への遺贈など相続人の協力を得にくい事例についても、遺言執行者を決めたほうがいいでしょう。
遺言執行者を指定する方法は、三つあります。
(1)遺言書の中で特定の人を指定する
(2)第三者に遺言執行者を決めてもらうよう遺言する
(3)本人の死亡後、相続人などの利害関係者が請求して、家庭裁判所に決めてもらう

(1)と(2)については、遺言執行者として指定されても引き受けるかどうかはその人の自由なので、断られる可能性があります。確実に引き受けてもらいたいなら、生前に話して了解を得ておきましょう。


<<遺言執行者を指定するメリット>>
遺言の内容を確実に実行できる

相続に関する手続きについては遺言執行者が単独で行なう権限があるので、他の相続人が勝手に財産を処分したり、手続きを妨害するような行為を防げます。もし、相続人がこれに反して相続財産を勝手に処分しても、その行為は無効になります。


相続手続きが簡略化され、スピーディに手続きできる
相続人が複数いると、何かと相続手続きが複雑になりがちです。書類に署名押印が必要だったり、相続人が手続きに立ち会わなければならない場面において、相続人が多いとそれだけ手間と時間がかかります。
しかし、遺言執行者を指定していれば、その人が相続人代表として手続きをするので大幅に手間を省けます。
遺言執行者には、未成年者と破産者を除いて、誰でもなれます。相続人や受遺者も可能ですが、なるべく利害関係のない第三者に依頼したほうが、余計な軋轢を生じずにすむでしょう。
相続手続きには法律上の専門知識を必要とする場面があるので、欲をいえば専門家に依頼するのが理想的です。
遺言執行者に支払う報酬については明確な決まりがないので、遺言の内容や手続きにかかる手間を考慮して最適な額を決めることになります。ただ、金額については相続発生後に相続人と遺言執行者が話し合って決めてもいいので、現時点ではあまり細かく決める必要はありません。気になる場合は、遺言執行者の報酬をどの財産から支払うかを遺言で指定するといいでしょう。


著者
本田 桂子(NPO法人 遺言相続サポートセンター理事)
2009年4月末現在の法令等に基づいています。