ビジネスわかったランド (経営・社長)

簡単健康法

快眠枕法
快眠枕法

枕の高さの調節で肩こりなど体の故障が解消

「たかが枕」などと言ってはいけない。合わない枕を使っていると、首が疲れるだけでなく熟睡感が得られない。肩こりや頭痛、手足のしびれなどの原因になることもある。
実際、こんな例があった。
58歳の男性Aさんは、もう20年近く頭痛に悩まされていた。寝つきが悪いだけではない。夜もよく眠れず、朝起きたときも熟睡感が得られない。一日中、頭がボーッとしているような有り様だった。もちろん、Aさんはさまざまな病院で検査を受けてきた。が、原因がわからない。いわゆる「頭痛持ち」とされていた。
最近、そのAさんの不快症状がわずか数日で消失してしまった。特別な薬を使ったわけではない。理由は枕だ。「自分に合った枕」を使うようにしたところ、翌日には頭痛が消え、その晩からグッスリと眠れるようになったのだ。Aさんは合わない枕を使っている典型例のような人だった。だから、自分に合った枕を使うようにしたら、てきめんに効いたのである。

いま使っている枕が最適の枕に変身
寝るという行為は体を休めることにほかならない。しかし、枕が悪いと体は休まっても、首が休まらない。ただでさえ重い頭を支えている首は、さまざまな関節のなかでも、最も故障を起こしやすいところなのだ。
あまり知られていないようだが、車や電車、飛行機など大きな加速が加わる乗り物に乗っていると、首にかかる負担が増す。経営者のように始終、乗り物に乗る人が自分に合った枕を使わなければ、首の故障はどんどん進んでしまう。
加えて、頸椎(背骨の首の部分)の周りには、運動神経、知覚神経、自律神経など、多くの神経が走っている。合わない枕を使うと、首の筋肉が緊張して首が痛くなるだけではなく、それらの神経にも悪影響を与えてしまう。肩こり、めまい、頭痛、手足のしびれ、食欲不振、倦怠感など、さまざまな症状を訴える原因になるのだ。
意外なことに、人間にとって最も負担のかからない楽な姿勢は、リラックスして立った状態である。寝るときも、この姿勢を保てれば熟睡することができるが、リラックスして立った姿勢を横から見ると、背骨が波のようになだらかなカーブを描いているのがわかる。頸椎は前に、胸椎(背骨の胸の部分)は後ろに、そして腰椎(背骨の腰の部分)が前になっている状態が一番いい。
当然、体を横にすると、カーブしている部分と床との間にすき間ができてしまう。枕の役割は、そのうちの首にできるすき間を埋めて頸椎を自然な形に保つことにあるが、枕が高すぎたり低すぎたりすると、頸椎に負担がかかってしまい、体が休まっても、首が休まらないという不自然な状態をつくり出してしまう。
一般に、後頭部の最も沈み込む部分が男性で5~6センチ、女性で3~4センチ、首の部分が男女とも5~7センチの高さの枕が寝心地がいいようだ。
千葉県の整形外科医で、枕の研究で有名な奥山隆保医師は、自分の研究を元にして、既製の枕とは違う新型の「快眠枕」を試作している。これは枕の中央がひし形にへこんだ枕だ。いま使っている枕が不満で「寝つきが悪い」「熟睡感が少ない」「頭が重い」「肩がこる」などと訴える人に、この快眠枕を3週間にわたって使ってもらい、評価をしてもらっている。現段階では、寝心地、熟睡感ともに満足度がきわめて高い。寝つきについても、60%以上のよい結果が出ている。頭痛、肩こりなど不快な症状が取れてしまったという人もたくさんいるという。
奥山医師の考案した快眠枕は簡単につくれる。肩こりや寝つきの悪さなどで悩んでいる人はぜひ試していただきたい。
まず、手持ちの枕を用意する。中身は羽毛でもソバガラでもプラスチックのチップの入ったものでもかまわない。ただ、そうした素材が取り出しやすいものがいい。そのほか、太めで長い針、タコ糸(普通の糸では切れてしまう)、定規、マジック、ハサミ、それに8センチ四方のひし形の布を用意する。あとの手順は次の通り。
(1)枕から少し素材を抜く
(2)枕の中心にマジックで点を打ち、そこを中心にして8センチ四方のひし形を当てる。同様に裏にも当てる
(3)タコ糸に大きな結び目をつくり、そこから男性なら5~6センチ、女性なら3~4センチのところに印をつける
(4)当てた布の四隅に、(3)でつくったタコ糸を裏側まで通し、印のところで止めて、余った糸を切る
(5)枕に頭を乗せ中身を出し入れしながら、首の部分の高さを決める
要は、中央がひし形にへこんだ枕ができればいい。早速、今夜からこの枕を愛用してみよう。よく眠れるだけでなく、翌朝には体中が軽くなっているのがわかるはずだ。

著者
宮田 充(医療ジャーナリスト)