ビジネスわかったランド (経営・社長)

簡単健康法

アルミ療法
アルミ療法
私たちの体は、たえず熱を発散している。約37度に温められた血液が全身を循環し、体中の組織を温めているからだ。心臓から放出された血液は動脈を下降しながら熱交換を行ない、体の組織を温めながらそれ自身は温度を下げていく。そして、足先で最低温度になる。寒冷下では熱交換と組織の熱放射によって、足指での動脈血の温度は約15度にまで下がることが知られている。
足先で最低温度になった血液は今度は静脈に入り、ふくらはぎ、太もも、腹部へとのぼっていく間に、筋肉(主に体を支えている骨格筋)でつくられた熱や動脈の熱で温められる。心臓に戻るときにはまた約37度近くの温度を取り戻しているのだが、何らかの原因で体のある部分の血流が悪くなると、熱交換がうまくいかなくなり、異常事態が発生する。
その部分の温度が下がり、筋肉が硬くなって痛みを訴えるようになるのである。原因はいろいろだろうが、要は血液による熱交換がうまくいかないために、そうした現象が現われてくるのだ。
そんなときにぜひ試していただきたいのが、アルミ療法である。

原理は入浴と同じ
ひざ痛や肩こり、腰痛のような慢性的に起こる痛みやこり、あるいは頻尿のような冷えによって症状が悪化するような病気には、患部を保温する効果が抜群に高いアルミ療法は驚くほどよく効く。
たとえば、毛布を1枚身にまとった状態と、厚さわずか13ミクロン(1ミクロンは1000の1ミリ)しかない毛布大のアルミホイル(アルミ箔)を身にまとった場合とでは、どちらが温かいと思われるだろうか。毛布だと思ったら間違い。だんぜんアルミホイルのほうが温かく、15分もアルミホイルで全身を密閉されているとグショグショの汗をかくだろう。
アルミホイルは保温力に優れているだけでなく、外部の冷えを遮断して中に入れないという断熱性を合わせもっている。そのため、これで患部を覆うと、体温が逃げないで患部にどんどん蓄積されていくのである。血流が悪くなるために起こる熱交換の不足が補われ、患部がよく温まり、痛みや不快な症状が速やかに取れていく。
体が冷え腰が痛くなったとき、お風呂に入って腰を温めるとすぐに痛みが消えてしまうのと原理は同じである。お風呂には1日中入っているわけにはいかないが、アルミホイルなら好きなだけ患部に巻いておくことができる。
やり方もいたって簡単だ。どこの家庭でも、台所へ行けば調理用のアルミホイルがあるだろう。それを用いればよい。
木綿の薄い布(タオルでもよい)を2つに折り、間にアルミホイルを挟む。このアルミを挟んだ布をアルミシートと呼ぶことにする。そのアルミシートで、患部を覆う。ただし、患部を小さく覆っても効果はない。保温効果を高めたいのなら、できるだけ大きなアルミシートをつくって大きく患部を覆うのがコツだ。また、アルミシートをつくらず、直接肌にアルミホイルを当てたほうがいいと考える人もいるだろうが、アルミと皮膚との間に少しすき間があったほうが保温効果は高まる。
春から初夏にかけては、気温の差が激しい。油断をしていると、体を冷やして肩こり、腰痛、ひざの痛み、神経痛などを起こしやすい。そんなときには、ぜひアルミ療法を試していただきたい。

著者
宮田 充(医療ジャーナリスト)