ビジネスわかったランド (経営・社長)

プライベートの問題

妻と離婚したいが、慰謝料や財産分与はどうなる?
 金額面で合意できない場合は、早めに裁判所の手続きをする。

離婚は、離婚届に夫婦本人と証人二人が署名捺印し、役所に届け出ることによって成立する。このように成立する離婚を協議離婚という。
このため、相手が離婚届に署名捺印しない限り、協議離婚は成立しない。
そのケースとしては、一方が離婚自体を拒否する場合だけでなく、親権者の指定、慰謝料、財産分与、養育費などの離婚の条件について合意に達しない場合も少なくない。
どうしても話し合いがつかなければ、裁判所の手続きを利用し解決を図るべきだが、裁判所を利用する前の交渉段階でも、相手方が要求する慰謝料や財産分与、養育費等が合理的なものかを判断する必要がある。

<< 離婚で争点になるのは >>

(1)慰謝料
慰謝料は相手方の精神的損害を賠償するものであり、その金額は、当事者の責任の程度や割合、婚姻期間、当事者の収入・資産状況、離婚後に予想される生活の状況など、様々な事情を考慮のうえ、決定される。
裁判所が認める慰謝料の額は、不貞行為をしたなど離婚に責任があるケースで、多くの場合数百万円の水準だが、場合によっては1000万円程度になることもある。

(2)財産分与
財産分与とは、離婚に際して夫婦の一方から他方に対し、夫婦で築き上げた財産の清算のために給付されるものである(離婚後の当面の扶養や慰謝料の趣旨が含まれる場合もある)。
夫が収入を得て、妻が専業主婦という場合、夫婦で築き上げた財産の多くは夫名義で蓄えられる。このような場合、妻の寄与度に応じて、その何割かを財産分与として妻に給付することになる。判例では、3割から5割程度の割合による分与が認められている。

(3)養育費
夫婦間に未成年の子がいる場合、養育費の支払いも問題になる。たとえ離婚により親権者でなくなったとしても、親子の縁が切れるわけではないので、親として、原則として成年に達するまでの間、養育するのに必要な費用(衣食住の費用、教育費、医療費など)を分担する義務、つまり養育費を支払う義務を負う。
養育費の金額は、親は子供に自分と同等の生活水準を保持させる義務を負うものとして算定される。標準的なケースでは、多くの場合、子供一人あたり月額数万円だ。

<< 協議離婚できないときは >>

離婚そのものや離婚の条件について話がつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになる。ここで話し合いがまとまれば調停調書が作成され、調停離婚が成立する。
それでも話がつかない場合は、家裁に離婚を求める訴訟を起こすことになるが、その手続きのなかで話がつけば、和解調書が作成され、和解離婚が成立する。
和解が成立しないときは、家裁が判決を出すことになり、不服がなければ判決は確定し、裁判離婚が成立する。
離婚は人生の重大事であり、その後の生活にも大きな影響を与える。経営者という立場からも、早めに弁護士に相談し、離婚の条件や手続きについて、助言をもらうべきだろう。

月刊誌「経営者会報」臨時増刊号より
2008年8月末現在の法令等に基づいています。