ビジネスわかったランド (経営・社長)
経営の問題
不振打開のため深夜営業を始めたいが注意すべき点は?
様々な観点から深夜営業が本当に必要か、あらためて検討をする。
売上高は営業日数と営業時間にほぼ比例する。したがって、営業時間を伸ばすために深夜営業を始めるのは、確かに不振打開の一つの手だ。だからといって安易な取組みは失敗の元である。十分な検討が求められる。
では、深夜営業を始めるにあたって、いくつか考慮すべき点を挙げよう。
立地
駅に近い立地は、終電まではある程度の人通りが見込めるので、閉店時間を終電の時間帯に合わせるなどの工夫をすれば、深夜営業の効果はあるだろう。一方、平均的な住宅街では、深夜営業の効果が上がるかどうかは、やり方次第といえる。むしろ、後述する住民との間に別の問題が生じる可能性がある。
事務所と住宅が混在するエリアでは、深夜営業の効果はあまり上がらないと考えてよい。
また商店街は、多様な業種が集まり、その相乗効果で集客する構造になっているので、一店舗で集客できるような大きな店舗でなければ、深夜単独で営業しても成功は難しい。
費用対効果
一般的に、費用のなかで最も大きなものは、賃借料を別とすれば、人件費と光熱費である。これらは、営業時間に比例して会社の負担が増加する。
とくに人件費は、時間外労働に対しては割増賃金を支払わなければならない。それに見合うだけの売上高、粗利益が確保できるかどうかの見極めが重要となる。
そのためには、まず、従来の時間内での売上高と延長した時間帯での売上高を区別して把握し、費用についても同じように区分して、従来の営業時間帯での収支と延長時間帯での収支とを比較し、収支上深夜営業をすべきか否かの判断材料とする。
品ぞろえ・サービス
従来の営業時間帯の通行客層とこれから営業しようとしている時間帯の通行客層が違う場合、両方に対応できる品ぞろえやサービスが必要となるため、新しい仕入先等の開拓も考えなければならない。また、深夜時間帯の品切れ対策についても、従来どおりの発注頻度でよいかどうか、検討する必要が出てくる。
従業員対策
従業員が、家族や親類縁者で構成されている場合は、深夜帯のレジや接客をパートに任せてよいかという問題が残る。逆に深夜の仕事を特定の社員に偏って任せれば、その人に肉体的な負担が重なり不満が出るだろう。社員全員が意見を出し合い、無理のないローテーションを組むのがよい。
近隣対策
深夜営業の店が増えるにつれて、照明や騒音で安眠を妨げられるなどといった、近隣住民とのトラブルが増えている。これらを解決するには、近隣の住民とよく話し合い、了承を得なくてはならない。
店側の対策としては、駐車場や誘導看板の照明を落としたり、来店客にマナー向上を働きかける。また、地域と協力して店を防犯拠点にするなどして、積極的に地域に貢献すれば、深夜営業についても理解を得られるのではないだろうか。防犯対策として、監視カメラの設置、警備員の配置など、警備会社への依頼も考える必要がある。
最近、深夜営業が流行のようになっているが、必ずしも業績が上がるというわけではない。安易に判断せず、様々な観点から検討していただきたい。
月刊誌「経営者会報」臨時増刊号より
2008年8月末現在の法令等に基づいています。
売上高は営業日数と営業時間にほぼ比例する。したがって、営業時間を伸ばすために深夜営業を始めるのは、確かに不振打開の一つの手だ。だからといって安易な取組みは失敗の元である。十分な検討が求められる。
では、深夜営業を始めるにあたって、いくつか考慮すべき点を挙げよう。
立地
駅に近い立地は、終電まではある程度の人通りが見込めるので、閉店時間を終電の時間帯に合わせるなどの工夫をすれば、深夜営業の効果はあるだろう。一方、平均的な住宅街では、深夜営業の効果が上がるかどうかは、やり方次第といえる。むしろ、後述する住民との間に別の問題が生じる可能性がある。
事務所と住宅が混在するエリアでは、深夜営業の効果はあまり上がらないと考えてよい。
また商店街は、多様な業種が集まり、その相乗効果で集客する構造になっているので、一店舗で集客できるような大きな店舗でなければ、深夜単独で営業しても成功は難しい。
費用対効果
一般的に、費用のなかで最も大きなものは、賃借料を別とすれば、人件費と光熱費である。これらは、営業時間に比例して会社の負担が増加する。
とくに人件費は、時間外労働に対しては割増賃金を支払わなければならない。それに見合うだけの売上高、粗利益が確保できるかどうかの見極めが重要となる。
そのためには、まず、従来の時間内での売上高と延長した時間帯での売上高を区別して把握し、費用についても同じように区分して、従来の営業時間帯での収支と延長時間帯での収支とを比較し、収支上深夜営業をすべきか否かの判断材料とする。
品ぞろえ・サービス
従来の営業時間帯の通行客層とこれから営業しようとしている時間帯の通行客層が違う場合、両方に対応できる品ぞろえやサービスが必要となるため、新しい仕入先等の開拓も考えなければならない。また、深夜時間帯の品切れ対策についても、従来どおりの発注頻度でよいかどうか、検討する必要が出てくる。
従業員対策
従業員が、家族や親類縁者で構成されている場合は、深夜帯のレジや接客をパートに任せてよいかという問題が残る。逆に深夜の仕事を特定の社員に偏って任せれば、その人に肉体的な負担が重なり不満が出るだろう。社員全員が意見を出し合い、無理のないローテーションを組むのがよい。
近隣対策
深夜営業の店が増えるにつれて、照明や騒音で安眠を妨げられるなどといった、近隣住民とのトラブルが増えている。これらを解決するには、近隣の住民とよく話し合い、了承を得なくてはならない。
店側の対策としては、駐車場や誘導看板の照明を落としたり、来店客にマナー向上を働きかける。また、地域と協力して店を防犯拠点にするなどして、積極的に地域に貢献すれば、深夜営業についても理解を得られるのではないだろうか。防犯対策として、監視カメラの設置、警備員の配置など、警備会社への依頼も考える必要がある。
最近、深夜営業が流行のようになっているが、必ずしも業績が上がるというわけではない。安易に判断せず、様々な観点から検討していただきたい。
月刊誌「経営者会報」臨時増刊号より
2008年8月末現在の法令等に基づいています。
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