ビジネスわかったランド (経営・社長)

後継者育成

子息を自社に入れる時期は
 自社であれ他社であれ、特別扱いされるようでは本人のためにはならない。他社で修行させるなら、若干でも部下を持って責任ある立場で仕事をするようになるまで、そこで働かせるほうが将来のためになる。

特別扱いは本人のためにならない
大学卒業後、子息をすぐに自社に入れるのか、あるいは他社で修行させるかの問題は、ケース・バイ・ケースというほかないのだが、1つだけはっきりしているのは、子息をいきなり自社に入れてしまうと、どうしても周囲に特別扱いされることが多いということである。これは本人の将来にとってよくない。
逆にいえば、他社に入社しても、そこで特別扱いされるのであれば、何にもならないのである。
自社にストレートに入れること自体が悪いということではないが、一般的にいって、卒業後すぐに自社に入社させると、どうしても苦労知らずのまま社長になり、会社が困難な状況になったときにそれを克服できず、社運を傾けてしまうケースが多いようである。最初から後継者と目されて、若大将とか若旦那とか、周りからおだてられていると、事業に対する厳しい姿勢や責任感が身につかない。
後継者にすることが念頭にあるのなら、やはり他社で苦労を経験させるほうがよいのではないだろうか。

他社で修行させるなら5年以上
通常、他社で修行させるといっても、2年か3年というケースが多いようだが、これでは真の意味で修行にはならない。2年では、ようやく仕事を覚えて一人前に仕事ができるようになるくらいであろう。
他社に預けるなら5年以上預けることをお勧めする。5年以上であれば、若干部下を持って、自分の後輩の面倒を見ることも覚えるし、ある程度責任ある立場で仕事をする経験ができるだろう。2年や3年では中途半端である。

自社に入れるときは根回しを
子息を自社に入れる場合は、周りから自然に押し上げられるのが理想的だが、やはり根回しはある程度すべきだろう。子息を後継者として選ぶのであれば、それだけの土壌をつくってやるべきである。

著者
大田 正幸(経営評論家)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。