ビジネスわかったランド (経営・社長)

後継者育成

次期社長候補の選抜基準は
 社長に絶対に必要なものは信望である。専門的知識ももちろん必要であるし、仕事ができる人間であることも求められるが、人が自然と集まり、また人を活かせる人間でなければトップの器とはいえない。さらに、決断力も重要な要素である。

社長に必要不可欠の信望
社長になる人間は、信望がなければならない。業種の別や、オーナー企業であるか否かによって若干の違いはあっても、どんな会社でも業績を伸ばしていこうと思えば、人を有効に使わなくてはならない。
会社は組織体であるから、トップに信頼感がなければ部下は働かない。専門的知識や仕事ができるということももちろん必要な要素ではあるが、トップの仕事が70~80点でも、部下がきちんと働いてくれれば100点の仕事になる。トップが100点でも、部下に信頼されなければ、100点はたちまち崩れてしまう。
跡継ぎの社長は、年が若くてもいい。年齢よりも、本人の能力と人格、社長にふさわしい器かどうかを現社長が見極める必要がある。それを私情におぼれて失敗した例は、上場企業にも数多くある。とくに息子を後継者とする場合、親子の情におぼれず、第三者的な見方を重視しないといけない。他人が陰でどう見ているかを考えることが大切である。

人の意見に耳を傾ける度量があるか
第二に、人の意見を聞く度量があることが必要である。どんな業種であれ、現在は多角化や国際化が求められている。このような経営環境下では、とても自分ひとりの能力や知識だけではカバーし切れない。
社長たるもの、様々な分野の専門家に会って意見を聞き、自分の知識を常に深めていくべきである。また社内においても、人の意見をよく聞くことである。それを取り入れる、取り入れないは本人の判断である。この変化の激しい時代に、自分の殻に閉じこもり、古い感覚と経験のみで経営をしようものなら、たちまち若い社員の信頼を失ってしまう。

決断力があるか
さらに、社長の重要な資質は、決断できること。いくら役員会に諮って意見を聞いても、最終的な判断は社長が下さなければならない。肝心なところの判断と決断力、これは一番大切なことである。
したがって、後継者選びの際、自分の息子だろうが誰だろうが、そういった資質をよく見極めることが重要である。トップは独断的でも優柔不断でもよくないのである。

著者
大田 正幸(経営評論家)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。