ビジネスわかったランド (経営・社長)

取締役の責任

破産・民事再生・会社更生と取締役の責任とは?
 倒産状態の会社で取締役が当面取るべき行動や措置は、その処理手続きの違いによって異なる。

<< 任意整理の場合 >>

まず、会社が破産宣告を受け、あるいは任意整理手続きを取る場合は、会社はすべての会社資産を債権者への公平な配当にあてて、会社業務を終了することになる。
そこで取締役としては、次のような事務処理をする(取締役は、会社の破産宣告によっても当然には取締役の地位を失なわず、その後も必要に応じて職務を行なう必要がある)。
(1)使用人に対する十分な措置
使用人に対して事情を十分に説明し、理解を得ることが重要である。また、未払給与や解雇予告手当は優先的に支払うべき債務であるから、会社の現有資金のなかから速やかに支払う。また、離職票や源泉徴収票の作成交付も速やかに行なう。再就職についても、できる限り便宜を図り、協力するべきである。
(2)整理手続き、破産手続きへの協力
顧問弁護士や顧問税理士に協力して、あるいは破産管財人の指示により、取引先等への連絡、仮決算による計算書類の作成、会社資産の保全、会社の債権・債務の確認、売掛債権等の回収等に努める。

<< 民事再生・会社更生法による場合 >>

次に、民事再生・会社更生法によって会社再建を目指す場合は、取締役会等で顧問弁護士・顧問税理士も交えて、綿密な打ち合わせのうえ、取締役として次の点に努力する。
(1)会社業務を継続するための協力要請
使用人や主要な取引先に状況と方針、そして見通しを十分に説明し、事業継続への協力約束を取りつけることが、先決問題である。
(2)再建計画の策定
過去の欠点を洗い出して、売上増加策・経費削減策、資金繰りの見通しなどを含んだ現実性のある再建案を策定する。人員削減、事務所移転、不要資産の処分も積極的に検討する。取締役の引責辞任、員数削減も自主的に検討すべきである。

著者
横山 康博(弁護士)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。