ビジネスわかったランド (経営・社長)

取締役の責任

配当と取締役の責任は?
 会社は、時期や回数を問わず、いつでも剰余金を株主に配当することができる。

その実質的要件として、「分配可能額」の範囲内で行なわれることが必要である。この分配可能額とは、最終事業年度の末日における剰余金の額をもとに会社法の定める方法によって算出されるものである。
ただし、分配可能額が存在しても、会社の純資産額が300万円を下回る場合には配当は許されない。
剰余金配当の決定権限
また配当の手続的要件としては、剰余金配当が適正に機関決定されることである。剰余金配当の決定権限については次のとおりである。
(1)原則としては、その都度株主総会の決議で決定する。
(2)取締役会設置会社では、定款で定めることにより、一事業年度の途中で一回に限り、取締役会決議をもって剰余金配当をすることができる。
(3)取締役の任期が選任後一年以内の最終事業年度に関する定時株主総会終結の時を超えない監査役会設置会社または委員会設置会社で、会計監査人を設置する会社では、定款の定めによって剰余金配当を取締役会で決定することができる。

<< 違法配当の責任 >>

適法な配当の要件を満たさない配当が行なわれた場合、それに関与した取締役が任務懈怠の責任を問われることは言うまでもない。また、当然ながら刑罰も用意されている。

<< 配当によって欠損となったとき >>

配当を行なった会社が、その事業年度の計算書類で欠損(分配可能額のマイナス)を出したときは、その配当に関する業務執行をした取締役は、事後的な責任を問われる。責任の内容は、そのマイナス額と配当額のいずれか少ないほうの金額を会社に支払うことである。もっとも、定時総会で配当を決定したときは、取締役の責任はない。

著者
横山 康博(弁護士)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。