ビジネスわかったランド (経営・社長)

人材の登用と処遇

外国人を採用する際の留意点は?
 在留資格の確認を怠らないことが大切である。

日本では、原則として外国人の国内での就労および就労目的の入国は認められていないが、特定の技術を有する人の雇用に関しては、就労可能な一定条件を満たしていれば企業が外国人を雇用することは可能だ(永住者とその配偶者などは、単純労働を含めてとくに制限はない)。
入国の際に与えられた在留資格の範囲内で「6か月」「1年」「3年」など、定められた在留期間に限って在留活動(就労等)が認められている(原則として単純労働は不可)。現在、企業での雇用が認められているのは、以下のいずれかに該当する場合である。

(1)就労可能な在留資格の所持者
外交官、経営者、大学教授、芸能活動その他、特別な技術や業務の範囲内で就労目的の滞在を許可した在留資格を有している人。

(2)在留資格変更許可を受けた者
留学生が、卒業後そのまま日本の企業に就労する場合など、(1)のいずれかに資格変更する許可を得ることができる。

(3)資格外活動の許可を受けた者
外交官の妻を語学教師として雇用する場合等は認められる。

(4)留学生または就学生
留学生は大学や専修学校の学生であり、就学生は日本語学校など各種学校の学生を指す。入国管理局で許可を得れば前者は週28時間以内、後者は1日4時間以内の範囲内で労働可能。

(5)日系二世、三世の者
ブラジルなどに住む南米の日系二世、三世には「定住者」という在留資格が与えられる。日本人と同等の身分または地位を認められた資格なので、在留期間中であれば就労が可能。

(6)日本人の配偶者
日本人と結婚すれば、定住者と同様の取扱いがされる。

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以上と別に在留資格には「研修」として「技術、技能または知識の修得をする活動」が認められている。研修形態がOJTであることが多いため、研修生が労働に従事しているように思われがちだが、その在留資格では就労できないので要注意。
企業が外国人を雇用する場合にまず気をつけるべきは、
1.就労させたい仕事の内容が在 留資格の範囲内の活動か
2.在留期間が過ぎていないか
を確認することである。
1.を証明するものに、入国管理局で交付してもらえる「就労資格証明書」がある(ただし、外国人労働者からの同証明書の提示は任意であり、提示の有無による雇用面の差別は禁止)。
前述のように、留学生を卒業と同時に雇用する場合には在留資格の変更手続きが必要で、これを怠れば不法就労となる。また、在留期間を超えて日本国内に滞在すれば不法残留となる。いずれも、入国管理法をはじめとする種々の法律違反となって処罰の対象となる(雇用した事業主も、不法就労助長罪として3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる)。
労働時間、賃金、解雇、災害補償など労働条件に関する事項については、日本人労働者と何ら変わるところはなく、労働関連諸法令で定める範囲内で取り扱わなくてはならない。労災保険や健康保険等の取扱いについても同様だ。厚生年金や雇用保険についても、適用基準を満たせば加入させなければならない(加入除外のケースもある)。

月刊誌「経営者会報」臨時増刊号より
2008年8月末現在の法令等に基づいています。