ビジネスわかったランド (経営・社長)

人材の登用と処遇

功臣を処遇しながら、一方で若返りを図るには
 役員定年制などの制度を設けて若返りを図るのが最もスムーズな方法である。同時に退任を迫る役員に対しても、何らかの処遇を検討する必要がある。

古参・老朽役員とは
古参役員とは、重任が重なって役員中の古顔になった者を指し、また老朽役員とは、老境に達し、役員としての活動が鈍化した者をいう。
古参役員の場合は、古顔だからという理由のみで退任を迫ることはむずかしい面もある。老朽役員は、明らかに役員として不適格化した者であろうから、議論の余地は少ない。
が、いずれにしてもその判断には、現に会社に対し、役員としてマイナスか否かをその根拠とすることが妥当であろう。

自動的に退任させる制度をつくる
前述した無能古参ならびに老朽不適格役員と判定したとしても、諸種の事情がからみ、退任させることは勇気を必要とするものである。したがって、たとえば次のような制度を設け、自動的に退任させるようにするのも一策であろう。
1.役員に定年制を設ける
2.役員の重任は5回を限度とする
3.業績評価制度を設け、不適格役員は再選しないこととする

相談役、慰労金などの処遇を用意する
これらの制度を実行するに当たっては、次のような処遇を行なうことを検討する。
1.定年および古参制限に該当して退任した役員には、退任後、2か年間相談役とし役員報酬の3分の2ないし2分の1を支給する
2.退任慰労金を支給する
この退任慰労金は、各会社とも内規等で支給方法を定めていると思うが、従業員退職金支給規程などと大同小異である。また役員は、退任時の会社の業績によって、たとえ規定されていても減額されたり支給されなかったりするケースもある。が、これではいくら退任させようとしても不可能に近いだろう。
問題は、老朽・若朽役員の処遇であるが、すでに述べたように、その判定ができたとしても退任させることはかなりの困難がある。
しかし、このような役員を抱えておくことは会社にとってマイナスも甚だしい。
それゆえ、まず職制を委嘱している役員ならばこれを解き、マイナス要因を少しでも減少することが肝心である。そして、会社の特命事項等を担当させ、その成果によって次の処遇を考慮することが必要な措置となる。
なお、これらの老朽・若朽役員を、子会社などの役員に送り込むことは一種の罪悪である。

著者
大田 正幸(経営評論家)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。