ビジネスわかったランド (経営・社長)
人材の登用と処遇
役員に求められる資質は
役員には先見力や幅広い知識、センスなどの能力に加え、性格面にも留意する必要がある。なお、過去の功績にこだわりすぎるのは危険である。
<< 役員能力判定の目安 >>
能力とは、目的を遂行するために必要な潜在している力の根源といえるが、能力があるからといって実績が上がるとは限らない。実績は、能力を基礎に置いた具体的な行動の結果にほかならないからである。
この点を踏まえて、以下、役員に必要な能力・資質について述べてみよう。
会社と運命を共にする覚悟のある人物であること
役員の任期は2年だが、その任期中、報酬目当てに時を過ごすような人間では役員として不向きである。その業績に責任を感じ、持てる力のすべてを経営に投入するような人物でなければならない。
広い知識をもつこと
役員の活動は会社の内外に及ぶものであるから、狭い範囲の専門知識のみでは不十分である。
洞察力、先見力をもつこと
会社が激しい競争に打ち勝ち、成長していくためには、将来を見通す力と、何が偽物であるかの判断ができる力が必要である。
日常業務の執行においても、眼光紙背に徹するくらいの力を備えていなければ、役員として活動はできないであろう。とくに先見性のない者は、諸施策が行き当りバッタリになって、部下はついていけなくなる。
鋭敏なセンスをもっていること
事態の変化をいち早く見抜き、これに対応し得る策が即座に案出できる回転力を必要とするであろう。
身辺が清潔であること
金銭に執着することは必要であるが、それは会社のために必要なのであって、役員個人はこれに恬淡でなければならない。もちろん、私腹を肥やすような人物は論外である。ときには身銭を切るくらいの気持ちがなければ、多数の支持を受けられないであろう。
労使関係への配慮ができること
従業員を下目にみたり、昔ながらの主従関係を信奉しているような人物は、役員として不適当である。そして、従業員の忠誠心や愛社心に期待し、それにあぐらをかいているようでは、リーダーの資格はない。
一芸に秀でていること
何でもよいが、衆に抜きん出たものをもっていることは大切である。一芸に秀でるには、それなりの根気と努力、才能が必要である。会社の業務に経験はなくとも、この素地があれば短期間に業務を身につけ指導的立場に立つことができる。
誠意と熱意、創意の持主であること
誠意と熱意はすべてに優先する。とくに、役員にこれが不足していると、多数を引っ張っていくことは不可能に近い。また、創意の欠如している者には、会社の発展に寄与することを期待できない。
役員向きの性格とは
適材適所とは、本人の具備する資質が所を得たときのことを指す。役員のポストにも、それに必要な資質を有する者を選任しなければならないことは当然であるが、性格面でも留意が必要である。
1.物事に不思議を直感する性格
2.物事をいい加減にしない性格
3.些細なことにこだわらず、大局的判断のできる性格
4.合理的で、かつ温かみがある性格
5.人間を信じ、かつ乗じられない性格
6.根気と情熱を有する性格
以上は、むずかいし条件のように思えるかもしれないが、大体は共通的なものであるから、これらの資質を具える者を発見し、役員とすべきである。
<< 役員選任に当たっての留意点 >>
功に報いるに地位をもってせず
役員の選任に当たって、最も重視しなければならないことは、就任してからの実績伸張の可能性である。
過去の功労に重きを置き、「過去にこれだけの功績があった」などというのが選任の要素になりがちであるが、過去の事績が会社の将来に再現できるという保証はない。
「やはり野におけれんげ草」というたとえもある。過去の功労を選任の条件にすると期待外れが多い。
病弱な人物を避けること
才能があっても不健康では、その才能を発揮することはできない。役員は従業員よりも精神的・肉体的に苛酷な勤務を課せられるのである。健康はすべてに優先するが、とくに役員には不可欠の条件である。
格好のよいのにとらわれるな
外見がよく、押出しが立派であると、これに引きつけられ、他の重要な条件がおろそかになる。飾りもの役員ならいざ知らず、経営の重責を担うためには、多少格好は悪くとも、根性のある人材を発掘すべきである。
使いやすい人間を避けること
自信家で我意の強いオーナー経営者は、とかく自分のいいなりになる人物を選びがちである。会社の発展よりも代表取締役の意を迎えるために汲々としているような者は、役員として不適任である。反骨精神の持主を発見し、役員に選任すれば、難関に際し必ずその真価を発揮することであろう。
誠意と熱意のない者は避ける
誠意と熱意は他の諸条件に優る。誠意のない人間は対人関係に問題があるし、他人の誠意を認めることができない。また、熱意に欠けると人を動かすことはできないし、物事が尻切れトンボになって諸施策の完遂がむずかしい。
物好きな人間を選べ
よい意味の物好きでなければ、新しい問題と取り組まないし、従業員の創意工夫にも関心が薄い。物好きな人間は、飽きやすい点もあるがセンスもある。
会社の業務の刷新・改善も、物好きな性格の役員によって推進される場合が多い。
著者
大田 正幸(経営評論家)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。
<< 役員能力判定の目安 >>
能力とは、目的を遂行するために必要な潜在している力の根源といえるが、能力があるからといって実績が上がるとは限らない。実績は、能力を基礎に置いた具体的な行動の結果にほかならないからである。
この点を踏まえて、以下、役員に必要な能力・資質について述べてみよう。
会社と運命を共にする覚悟のある人物であること
役員の任期は2年だが、その任期中、報酬目当てに時を過ごすような人間では役員として不向きである。その業績に責任を感じ、持てる力のすべてを経営に投入するような人物でなければならない。
広い知識をもつこと
役員の活動は会社の内外に及ぶものであるから、狭い範囲の専門知識のみでは不十分である。
洞察力、先見力をもつこと
会社が激しい競争に打ち勝ち、成長していくためには、将来を見通す力と、何が偽物であるかの判断ができる力が必要である。
日常業務の執行においても、眼光紙背に徹するくらいの力を備えていなければ、役員として活動はできないであろう。とくに先見性のない者は、諸施策が行き当りバッタリになって、部下はついていけなくなる。
鋭敏なセンスをもっていること
事態の変化をいち早く見抜き、これに対応し得る策が即座に案出できる回転力を必要とするであろう。
身辺が清潔であること
金銭に執着することは必要であるが、それは会社のために必要なのであって、役員個人はこれに恬淡でなければならない。もちろん、私腹を肥やすような人物は論外である。ときには身銭を切るくらいの気持ちがなければ、多数の支持を受けられないであろう。
労使関係への配慮ができること
従業員を下目にみたり、昔ながらの主従関係を信奉しているような人物は、役員として不適当である。そして、従業員の忠誠心や愛社心に期待し、それにあぐらをかいているようでは、リーダーの資格はない。
一芸に秀でていること
何でもよいが、衆に抜きん出たものをもっていることは大切である。一芸に秀でるには、それなりの根気と努力、才能が必要である。会社の業務に経験はなくとも、この素地があれば短期間に業務を身につけ指導的立場に立つことができる。
誠意と熱意、創意の持主であること
誠意と熱意はすべてに優先する。とくに、役員にこれが不足していると、多数を引っ張っていくことは不可能に近い。また、創意の欠如している者には、会社の発展に寄与することを期待できない。
役員向きの性格とは
適材適所とは、本人の具備する資質が所を得たときのことを指す。役員のポストにも、それに必要な資質を有する者を選任しなければならないことは当然であるが、性格面でも留意が必要である。
1.物事に不思議を直感する性格
2.物事をいい加減にしない性格
3.些細なことにこだわらず、大局的判断のできる性格
4.合理的で、かつ温かみがある性格
5.人間を信じ、かつ乗じられない性格
6.根気と情熱を有する性格
以上は、むずかいし条件のように思えるかもしれないが、大体は共通的なものであるから、これらの資質を具える者を発見し、役員とすべきである。
<< 役員選任に当たっての留意点 >>
功に報いるに地位をもってせず
役員の選任に当たって、最も重視しなければならないことは、就任してからの実績伸張の可能性である。
過去の功労に重きを置き、「過去にこれだけの功績があった」などというのが選任の要素になりがちであるが、過去の事績が会社の将来に再現できるという保証はない。
「やはり野におけれんげ草」というたとえもある。過去の功労を選任の条件にすると期待外れが多い。
病弱な人物を避けること
才能があっても不健康では、その才能を発揮することはできない。役員は従業員よりも精神的・肉体的に苛酷な勤務を課せられるのである。健康はすべてに優先するが、とくに役員には不可欠の条件である。
格好のよいのにとらわれるな
外見がよく、押出しが立派であると、これに引きつけられ、他の重要な条件がおろそかになる。飾りもの役員ならいざ知らず、経営の重責を担うためには、多少格好は悪くとも、根性のある人材を発掘すべきである。
使いやすい人間を避けること
自信家で我意の強いオーナー経営者は、とかく自分のいいなりになる人物を選びがちである。会社の発展よりも代表取締役の意を迎えるために汲々としているような者は、役員として不適任である。反骨精神の持主を発見し、役員に選任すれば、難関に際し必ずその真価を発揮することであろう。
誠意と熱意のない者は避ける
誠意と熱意は他の諸条件に優る。誠意のない人間は対人関係に問題があるし、他人の誠意を認めることができない。また、熱意に欠けると人を動かすことはできないし、物事が尻切れトンボになって諸施策の完遂がむずかしい。
物好きな人間を選べ
よい意味の物好きでなければ、新しい問題と取り組まないし、従業員の創意工夫にも関心が薄い。物好きな人間は、飽きやすい点もあるがセンスもある。
会社の業務の刷新・改善も、物好きな性格の役員によって推進される場合が多い。
著者
大田 正幸(経営評論家)
2006年9月末現在の法令等に基づいています。
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