ビジネスわかったランド (経営・社長)

取締役の職務

取締役会への出席・報告義務と代表取締役の監視義務とは?
 取締役会設置会社の取締役の最も基本的な責務は、取締役会の一員として会社運営に関する意思決定に加わることである。

平取締役であろうと非常勤取締役であろうと、これは最小限の責務である。
取締役がこの責務を果たすには、当然、取締役会に出席することが前提となる。したがって、取締役には取締役会出席義務があるといえる。取締役が取締役会への出席をおろそかにするのは、忠実義務違反となる。
ところで、取締役会による会社の意思決定は、事業展開のなかで次々と変わっていく。したがって取締役会は、一度ある意思決定をしただけでは済まず、常に次の意思決定に備えなければならない。そのためには先の決定事項が事業のなかでどのように遂行され、どうなっているのかを知らなければならない。

<< 取締役は報告し、監督しあう立場 >>

そこで、会社法は取締役会に取締役の職務執行を監督する権限をもたせたうえで、その権限が十分に発揮されるように、「業務執行取締役は三か月に一回以上、自己の職務の執行状況を取締役会に報告すること」を求めている。この規定に基づいて職務執行を監督される「取締役」、また業務の執行状況を報告すべき「取締役」は、代表取締役および業務執行取締役である。なぜなら、取締役会決定に基づいて対外的な業務執行をするのは、そのような取締役の役目だからである。
したがって、代表取締役以外の取締役が取締役会を通じて代表取締役を監視し、必要に応じて取締役会決議で業務執行に関する指示を出すことになるのである。
ただし、代表取締役以外の取締役も、多くは役付取締役や業務担当取締役として業務に携わっているので、当然に取締役会への報告義務を負い、取締役会の監督に服することとなる。その意味では、各取締役は取締役会を通じて相互に業務報告をしあい、かつ監督しあう立場で経営に参画するのである。

著者
横山 康博(弁護士)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。