ビジネスわかったランド (経営・社長)

取締役の職務

経営顧問・相談役の職務とは?
 経営顧問や相談役には、二つのタイプがある。

一つは、長年にわたって会社に勤続した後、相談役・嘱託などとして会社に残っている者であり、もう一つは、外部から経営顧問などとして迎えられた者である。これらの者は、多くの場合非常勤で、取締役ではないのが普通である。

<< 顧問・相談役の基本的な職務 >>

経営顧問、相談役、嘱託などに期待されている基本的な職務としては、次のようなものがある。
(1)取締役会で決定する事項その他の会社重要事項について、取締役会に答申すること。この職務を果たす方法として、取締役会にオブザーバーとして出席し意見を述べることもある。
(2)長期継続的に取り組むべき活動(社員教育、研究開発、史料整理、社史編纂など)にあたること。
(3)それらの活動をするうえで、必要に応じて調査活動をすること。
経営顧問らの職務は、取締役会の諮問、指示を受けてから開始されるのが一般的だが、自ら気づいたことについては、自発的に意見を具申すべきである。

<< 取締役会として注意すべき点 >>

取締役会として、経営顧問らの活動に関して注意すべき点もある。
(1)先達や専門家の意見を聞くことは結構だが、最終的な決定権と責任とは取締役会にある。まず、そのことを忘れないようにする。
(2)個々の取締役は、安直に経営顧問らの意見に流されることなく、自らの意思で自己決定しなければならない。顧問や相談役の意見を免罪符であるかのように考え、無批判に受け入れて責任回避の口実にするのは無責任である。
(3)経営顧問や相談役が実質的な権限を握り、陰で会社経営を牛耳るようなことを許してはならない。
また、経営顧問らの活動に対しては、とくにその意見が会社の具体的方針決定に影響力をもてばもつほど、社内の現場から反発が生まれやすい。現場に接点のない外部の人間に大切な職場をかき回されているようにも見えるのである。

著者
横山 康博(弁護士)
2010年6月末現在の法令等に基づいています。