ビジネスわかったランド (経営・社長)

役員給与・賞与・退職金

社長の家族への給与に対する税務上の扱いは
 役員の家族使用人に支給する過大な給与については、次のように損金算入が認められないので注意が必要である。

家族使用人の給与に対する規制
使用人給与は、労働の対価として会社の損金(経費)とされる。
この原則に着目して、経営者が自分の妻や子供を役員とせず、使用人として多額の給与を支給し、自己の所得を分散させるといった問題が過去にあった。
そこで、たとえ使用人であっても、役員の親族に支給する過大な給与については損金算入しない(課税する)ことになっている。
すなわち、法人が役員と特殊な関係にある使用人に支給する給料や賞与または退職金(経済的利益を含む)のうち、不相当に高額な部分の金額については損金算入が認められない。

特殊関係使用人の範囲
この特殊関係使用人とは、次の者である。
1.役員の親族
2.役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者
3.1、2以外の者で役員から生計の支援を受けている者
4.2、3の者と生計を一にするこれらの者の親族

不相当に高い金額の判定
また、不相当に高いとされる金額は、過大な役員給与や過大な役員退職給与の判定の場合と同様、その実質で判断する。
具体的には、次の事項を総合勘案して判定する。
1.使用人の職務の内容、従事する程度・期間、経験年数、退職の事情など
2.会社の業種、規模、所在地、収益状況、他の使用人給与や退職金の支給状況など
3.会社の規模・収益状況等が類似する同業他社の使用人給与や退職金の支給状況など

家族使用人の給与の決め方
税務は、役員の家族使用人の給与や退職金については、役員個人の所得分散ではないかという目で見ており、また現実にはお手盛りとなりやすい。
したがって、その家族使用人の職務内容や勤務状況はもとより他の使用人との釣合いなどを勘案して、否認されないよう適正額にする注意がいる。

著者
西辻 勝利(税理士)
監修
税理士法人A.Ⅰブレイン
2013年3月末現在の法令等に基づいています。