ビジネスわかったランド (経営・社長)

会社との取引

役員社宅の家賃はどの程度がよいか
 役員社宅の家賃は、社宅の大きさなどによって取扱いが異なる。低額の家賃しか支払っていなければ、適正家賃までの差額は役員給与として扱われ、定期同額給与、事前確定届出給与に該当しなければ、損金不算入となる。

経済的利益は給与になる
役員が会社から社宅を借りて、会社に家賃をまったく払わないか、あるいは通常払うべき家賃(適正家賃)よりも低額の家賃しか支払わなければ、適正家賃までの差額は経済的利益とし、役員の給与とされる。経済的利益も含めた役員給与は、定期同額給与、事前確定届出給与に該当しなければ、損金不算入となる。
適正家賃かどうかの計算は、小規模な住宅とそれ以外の一般的な住宅などで区分されるが、いずれも社宅の土地・家屋の固定資産税の課税標準額を基に計算される。

小規模住宅の家賃の計算方法
役員社宅のうち小規模社宅、すなわち家屋の床面積(1世帯)が132平方メートル以下の木造家屋(あるいは99平方メートル以下の木造家屋以外の家屋)の場合の家賃は、次の算式により計算する。


小規模社宅以外の家賃の計算方法
役員社宅で小規模社宅、豪華社宅に該当しないものの家賃は、次の算式による。


例外的な使用のケース
役員社宅で業務用に使用する部分のある住宅や、単身赴任者などが一部を使っているにすぎない社宅は、次の算式により家賃を計算する。


豪華社宅の貸与
社宅の家屋の床面積(公的使用部分を除く)が240平方メートルを超えるものは、取得価額、支払賃料の額、内外装その他の設備などからみて、社会通念上一般的に貸与されている住宅かどうかが判断されるが、240平方メートルを超えていることだけで豪華社宅とはされない。
逆に、240平方メートル以下の役員社宅でも、プール等の設備・施設や役員個人の嗜好等を著しく反映した設備などのある住宅は豪華社宅と判定される。
これらは図にまとめると、次のとおり。

豪華社宅の家賃は、一般の役員社宅家賃計算ではなく、通常支払うべき家賃(時価)で評価する。

定期的に家賃を見直す
豪華社宅とみなされるものについては、費用はかかっても不動産鑑定士などに査定してもらうほうが、税務上のトラブルは避けられる。あるいは近くの不動産業者3社くらいに参考家賃を教えてもらい、書類で保存しておくのもよい。
なお、家賃は3年や5年おきというように、定期的に調べ直すことも必要である。

著者
中村 敏彦(公認会計士・税理士)
監修
税理士法人A.Iぶれいん
2013年3月末現在の法令等に基づいています。