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朝礼

ライバルとはフェアに競争

切磋琢磨し合う間柄

明治3(1870)年、イギリスのケンブリッジ大学に留学した菊池大麓(だいろく)は、数学で常に首席を占めていたため、他の学生たちから妬(ねた)まれていました。人種差別や階級差別が激しかった頃のイギリスです。菊池に対する他の学生たちの気持ちは、妬みというより憎悪に近かったようです。
あるとき大麓が風邪をこじらせて入院すると、イギリス人学生たちは示し合わせて、大麓が欠席中の講義ノートを彼に貸さないことにしました。いつも2番目の成績だったブラウンという秀才を首席に押し出そうとした企みでした。
しかし、当のブラウンは、病院に大麓を毎日見舞い、その日のノートを清書して彼に渡していたのです。そのため大麓の首位は動きませんでした。帰国後、日本の数学研究の近代化に貢献した大麓は「彼のジェントルマンシップほど私を深く感動させたものはない」とよく言っていたそうです。
企業内でも、業務能力や昇進・昇格を巡って個人同士の競争があります。自分よりできる者に対する妬みや反感が強かったり、逆にできない者に対して傲慢な態度を示したりしたら、職場の雰囲気は必ず悪くなります。
ライバルは、自分の能力ややる気を引き出してくれる貴重な存在です。ブラウンのようなフェアな態度で競争することによって、お互いの能力を伸ばすとともに、人間として成長していくことができます。そのことを忘れないようにしましょう。