ビジネスわかったランド (営業・販売)

朝礼

険悪な雰囲気をユーモアで救う

機転を利かせる

オリックスがまだオリエント・リースという社名だった頃の話です。日本初のリース会社として設立されただけに問題も多く、会議もよく紛糾しました。その日も重役会議で、ある問題を巡って白熱した議論が展開され、なかには感情的な争論をする者も出てきました。
(このままではいかん)
当時社長を務めていた乾(いぬい)恒雄は、突然こんなことを言い出しました。
「歌舞伎役者の坂東三津五郎さんは、フグにやられましたなあ」
会議のテーマとは全然関係ない突拍子もないセリフが、いきなり社長の口から飛び出したので、重役たちは一瞬「えっ?」という表情で乾の顔を見ました。
乾は穏やかな表情で重役たちの視線を迎えました。
「みなさん、そのフグ、どのくらいの大きさかわかりますか。私ね、警察の人に聞いたんですが、1メートル(一命取ル)もあったそうです」
社長がジョークを言ったのだとわかったとたん、笑い声が上がり、張りつめていた険悪な雰囲気が消えました。
会議が意見の相違から紛糾したり、逆に意見が出なくなって停滞したりしたような場合、インターバルを入れるかシフトチェンジをするのが原則です。乾はそれを実行したのでした。