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朝礼

不遇のときをどう過ごすか

基本を鍛える

アニメソングの重鎮として、世界中の日本アニメファンから尊敬されている佐々木功が、かつてはロカビリー歌手だったと知っているのは、若い人には少ないかもしれません。
1960年、プレスリーの曲(「STUCK ON YOU」)の日本語カバーヴァージョン「本命はお前だ」でロカビリー歌手としてデビュー、雰囲気もプレスリーに似ていたことから和製プレスリーと呼ばれ、今のアイドル歌手も及ばないほどの人気を得ていました。また、俳優としても活躍し、大島渚監督のヌーベルバーグ作品などにも数多く出演しました。
ところが、ロカビリーブームが去り、ヌーベルバーグ路線が終わると、仕事がピタッとなくなってしまいました。この不遇の時代に彼は何をしていたか。音楽家の島田敬穂について、正統的な歌唱法を基礎から地道に勉強していたのです。
1972年、たまたま声優の口がかかってきました。テレビアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」にレギュラー出演することになったのです。その打ち上げの宴席で「ガッチャマン」の主題歌を歌ったところ、オペラ歌手のような声量と歌唱法で参加者を驚かせました。
これがきっかけとなって、翌年「新造人間キャシャーン」の主題歌担当に抜擢され、以後、「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」の主題歌などアニメソングの大ヒットを飛ばすことになります。
不遇の時代をどう過ごすかで、その後の人生が大きく変わってくるということがわかります。