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朝礼

強い意志があれば認められる

自殺直前に助けられた塙保己一

世の中には生まれたときから重いハンディを背負いながら、大成した人もいます。ヘレン・ケラーはその最たる人物ですが、日本では、江戸中期の国学者の塙保己一(はなわ ほきいち)でしょうか。
保己一は7歳で完全に失明してしまいますが、非常に物覚えがよく、手の平に指で字を書いてもらって文字を覚え、また人から聞いた話は、一言一句違わずに語ることができたと言います。
15歳(13歳説も)のとき江戸へ出て、雨富須賀一(あめとみ すがいち)検校(けんぎょう)に入門し、按摩(あんま)・鍼(はり)・音曲(おんぎょく)などの修行を始めました。しかし、生来手先が不器用でどれも上達しないうえに、座頭金(ざとうがね/幕府公認の高利の貸し金)の取り立てがどうしてもできず、いつもきつく叱られていました。
(自分のような者は死んでしまったほうがいい)と九段の牛ケ淵へ行き、まさに飛び込もうとしたとき、通りがかりの人に助けられます。
(死ぬ気なら、自分がほんとうにやりたいことができんるじゃないか)そう思った保己一は、雨富検校に学問への思いを告げたところ、意外や「3年で見込みが立たなければ国元へ帰す」という条件で学問することを認められました。実は雨富検校は、保己一の学才に気づいていたのです。
その後、保己一は国学や漢学、神道、法律、医学を学び、ついに日本屈指の大学者になりました。
何かをなしとげたいのなら、強い意志があれば、必ず認めてくれる人が現れ、いつかは道が開けるものです。ましてハンディのないみなさんならなおさらです。