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朝礼

独断で決断したイギリス首相

担保はイギリス政府

今日は果断で的確な決断が、大きな利益をもたらしたというエピソードを紹介しましょう。
1875年11月14日の夕方、イギリス首相ディズレーリは、大富豪ロスチャイルド邸で、主人のライオネルと夕食をともにしていました。そこへ召使が1通の電報をもってきました。それは、エジプトのパシャ(総督)が、対外債務返済のためにスエズ運河の株を売り出そうとしている、という極秘情報でした。値段は1億フラン(400万ポンド)だとありました。
スエズ運河はご存じのように地中海と紅海を結んでアジアへとつなぐ重要な運河です。
彼はその場でロスチャイルドに400万ポンドの融資を申し入れました。これほど巨額な借金を国会の議決を経ずに行うことは憲法違反でした。そのときロスチャイルドに「担保は?」と訊かれたディズレーリは「イギリス政府」と答えました。
「よろしい、お貸ししましょう」という答えを得たディズレーリは、ただちに外務省に電報を打たせ、購入を申し込みました。これによってイギリスはスエズ運河株の44パーセント、17万株を保有する筆頭株主となりました。それにより、毎年巨額の配当を受け取るとともに、植民地インドの支配が従来より格段にしやすくなったのです。
のちにディズレーリは、その行為がイギリスの憲法に反すると、政敵ウィリアム・グラッドストンに告訴されましたが、果断な決断がイギリスに利益をもたらしたことはまちがいありません。