ビジネスわかったランド (営業・販売)

ちょっといい話

次工程はお客様
次工程はお客様
   日本企業の成功の秘密は、徹底した「改善」の戦略にあります。今井正明氏の『カイゼン』という著書に、次のような趣旨の話が載っています。
   その昔、村でカゴを作っていた職人は、自分のお客が誰であるか、一人ひとりをよく知っていました。お客は隣の家の女房であったり、角に住む友達であったり、あるいは親類であったりと、一人ひとりの顔をすぐ思い浮かべることができました。そうしたお客と直接顔を合せるわけですから、彼はいい加減なカゴを作って売りつけようなどとは夢にも思わなかったに違いありません。
   一方、現在のような大量生産の時代では、作り手がお客と直接顔を合わせることはほとんどありません。たとえば、大量に生産される自動車の一作業員が、ボルトの締め付けをキチンとやらなくても、その車が誰の手に渡るかわからないのが、今日の時代です。しかし、それではよい品質の製品を作ることはむずかしくなります。
   そこで、次工程で働く作業員がお客だとする考え方が生まれました。そうすれば、直接お客と顔を合わせるのと同様の効果が生まれるからです。日本の企業はこの考え方を導入し、徹底することによって、品質管理に成功したのです。
   これも日本企業の「改善」の勝利です。

監修
福田 健