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リーダーシップ

借り物ではなく自分の言葉で
借り物ではなく自分の言葉で
   リーダーの言葉は常に新鮮でありたいものです。要職を歴任された田中さんが、製造長研修で講師をされていたときのことです。前年の研修修了者が、玄関のロビーで田中さんを出迎えたり、有志が集まって一緒に昼食をしたりする光景に接しました。
   そこまで受講者が慕う理由は、何なのでしょう。それは、「私は自分というロウを燃やす、ロウソクのようなもんですな」という田中さんの言葉に象徴されています。何事にも真剣な方なのです。
   まず研修の前には、必ず彼らが働いている現場を下見します。夜は宿題をしている研修生の宿舎を巡回し、対話したり、指導したりします。情報量の豊富さ、物事に対する見識、的確なコメントは見事なものでした。
   後に社長にまでなったある工場長が、課長職との夜の懇談をしたときにも、似たようなことを感じました。質問にスラスラと答えるかと思うと、じっと聞き入ってから、しぼり出すようにしてご自分の考えを披露されるのです。
   よく、後ろ姿に学ぶともいいます。部下はリーダーが粘りに粘って難関を突破していくのを見て、仕事への取り組み姿勢を体得していきます。借りものの知識ではなく、部下が見ている前で自分の考えを示し、的確なアドバイスをすることが部下の心を動かすのです。リーダーには、日頃から自分で考え続ける努力が欠かせません。

監修
福田 健