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人間関係の知恵

殺し文句
殺し文句
   池波正太郎原作の『鬼平犯科帳』には、愛読者が多いようです。
   「鬼平」というのは、主人公の「火付盗賊改方」のお頭、長谷川平蔵のことです。
   この人は、若い頃、本所深川あたりでさんざん遊び回り、やりたい放題のことをして、ワルも一目置く存在でした。
   しかし、その後「火付盗賊改方」に就任してからは、数々の大手柄をあげ、盗賊たちは改めて「鬼の平蔵」と呼んで、彼を恐れたのです。
   反面、苦労人で、人情を心得た平蔵は、気さくにどこへでも出かけて行き、強さと優しさとを兼ね備えた人物だったようです。
   ある晩、昔つきあっていた、いまは見る影もない姿になった女にばったり出会います。
   「すっかりご立派におなりなさいまして・・・」
 おどおど声をかける女に、何のこだわりもなく、こう答えます。
   「なあに、中身に変わりはあるものか」
   こういう殺し文句が随所に出てくるところが、「鬼平」ファンにはたまらないのかもしれませんね。

監修
福田 健