ビジネスわかったランド (営業・販売)

ユーモアの効かせ方

もう一つ別の尺度
もう一つ別の尺度
   入社間もなくのことですが、人事異動で、ある課長の元に移りました。同期の仲間は、この課長を「木村さん」とアダ名しています。気にムラがあるので「木村さん」です。案の定、同じことを、同じように報告しても、「フンフン」と素通りになることもあれば、とことん追求されてしまうこともあります。
   ほとほと対応に疲れ「辞めるしかないかなあ」と思っていたときに、得意先の部長さんが見かねて「山田さん、良い悪いで物事をキメつけると、行き詰まりますよ」とアドバイスしてくれました。
   「今度の課長さんは面白い人じゃないですか。ふつうだったら、相手の反応が読めるけど、あの人は話すたびに別の反応が返ってきて、私などには勉強になります。好き嫌い、良い悪いだけじゃなく、もう一つ別の尺度を持つと、気持ちが大きくなるんですがねぇ」
   なるほど、面白い人という見方もあるのか。以来、心に余裕ができたせいか、苦手課長のツッコミにも、いちいち腹が立たなくなり、とてもラクになりました。しばらくして、いくら当たり散らしても応えなくなった私に、課長のほうも面白味を失ったのか、私にだけはヘンなツッコミを控えるようになりました。

監修
福田 健