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ユーモアの効かせ方

本音の恐ろしさ
本音の恐ろしさ
   建て前と本音を使い分ける日本人への反省からか、建て前の堅苦しさを嫌うためか、やたらと本音がもてはやされる昨今です。といって、本音を際限なく露出するのは、どんなものでしょうか。
   道を歩いていると、石が顔を出しています。「何だろう」と立ち止まって、覗いてみると、その石には「本音」と書いてあります。そこで、大勢の人間が本音の石を掘り始めました。
   しかし、道に顔を出している本音の石は、ほんの一部分で、隠れた部分の大きいこと。ついに、本音の石をすべて掘り出したとき、道は大きな穴があいて、通れなくなっていました。掘った人たちはすっかり疲れはて、元に戻す元気もなく、その場にしゃがみこんでしまったのです。
   本音、本音と騒ぎ立てた結果が、この有り様というわけですが、なんとも気の重い話です。
   この話から、ふと、作家の田辺聖子さんの言葉を思い出しました。
   「本音を聞いたら、その場で忘れるのがいいのであるが、本音ほど後遺症が烈しく、即座に忘れることのできないのが、人間の悲しさである」
   みなさんも、取引先やお客様と接する中で、時に「建て前」の連続にウンザリすることもあるでしょうが、そうかといって本音丸出しでは身もフタもありません。そのギスギスした隙間を埋めるウイットやユーモアを研究してみてはいかがでしょうか。

監修
福田 健